滝見の筈が・・

日光市(足尾)
(黒沢支流)立桐沢




                  



2005,8,6 訪問


(時間やルートは参考にしない事)
              
 この日は朝から調子が狂っていた.家を出て大谷まで来たとき、「あれ!靴は入れたかな?」・・・車のスピードを落とし、カメラ良し三脚良し、飯も良しロープも良し、救急薬に手袋靴下地図資料鈴笛、フイルムデジカメ良し、帽子合羽タオル携帯電話靴良し・・・あ!靴が無い.たはは、もう30分も走ってしまったのに.しかし、靴がないのでは話にならない.取りに戻ったが、出発早々1時間のロスである.

 林道には入り口にゲートが設けられていて一般車は通行出来ない.手前の空きスペースに車を止め支度をしてゲートを通過した.ややくたびれたザックに変えて新調したザックは背中に固く当たるが、その内慣れるだろう.結構バランスが良いので身体との一体感がある.左に沢が大量の水を流しているが風が無くかなり蒸し暑い.すぐに橋が見えた.良く考えれば判る事だが、此処で大いなる間違い(それもイージーミス)をやってしまった.

 橋からその沢(黒沢は橋の左)の上流を見るとすぐに堰堤がある.まあ、地図に載ってないのは良くあるから別に不思議には思わなかった.ただ、資料では左岸を行く様になっているが、仕事道は右岸を登る様につけられている.まあ、これも長い間にはいろいろあるからちょっと首を傾げただけでその仕事道に取り付いた.親指ほどの小さな赤いキノコがあった.タマゴタケの幼菌だと思う.先を期待し、これが黒沢右俣だと信じて歩を進めた.

 しかし、この沢は「立桐沢」で黒沢右俣の一つ手前の沢だった事が後に判った.さらに、源頭付近には思いもかけない物が待っていたのである.

 2017/10/29 画像入れ替え  捜索編はこちら


林道入り口を入って


2段10m・・・はないかな
 すぐに、比較的大きな滝が現れた.2段10m・・・は、ないか.木が生い茂り葉に覆われたこの場所は薄暗くどこか不気味な感じだ.一旦仕事道を下りて滝前に立ち撮影を開始した.こうして見るとなかなか見応えがある滝である.撮影を終えて道に戻り、再び上流へと行く.道脇には大きなきのこが生えていた.何という名前のキノコだろうか.大きい方は傘の直径が15cm位ある.食べられるんだろうか?

 沢に下りて、一旦左岸に渡り沢に沿う様に仕事道は続いている.黄色い小さい花や丈が長く紫色の花が一杯ついたものなど、この季節でも花が結構多くあるものだ.鹿の角も落ちていた.もう少し立派なものであれば飾り物になるのだろうが.日があまり差し込まない谷に鹿の警戒音が響く.

 沢は、水がそれ程でもなく大きな滝も今のところ出てこない.資料にあるゴルジュもなかなか出会えない.それでも、3−4m程の滑滝がいくつかあり蒸し暑い事も手伝って滝を直登しながら、沢を遡って行った



キノコ、喰えるかな


ホトトギス


鹿の角


滑滝



流木のある滑滝 



ソバナかな?


イワタバコ
 滝下に木が引っ掛かっているが、なかなか形の良い滝に出た.小休止も兼ね、撮影して行く事にした.魚が多くいるという噂の沢だが、ここまで魚影を見ていない.釣り師も入ってない様な感じだ.少し不安がよぎったが、滝が出始めてきた事で又前進を開始した.

 右(左岸)から僅かに水を集めて小さな沢が合流している.向こう(上)をみると岩の切れ目に滝を落としている様だ.そこの斜面に(花の)ホトトギスやイワタバコが少しだが群落をつくって咲いている.花が多いと、気分も高揚してくる.

 本流に戻りさらに遡って行くと次から次と滑滝が出てくる.落差はないがどれも綺麗だ.ゆっくり撮影したりして楽しんだ為か、資料を確認しようとは思わなかった.目的地が近いと思っても意外に遠かったり、あるはずの滝が崩れていたなんて事もあるから、まさかこの沢が違うとは考えもしなかった.滝はどれも快適に登っていく事が出来る.時々魚影も(10−15cm位だが)確認出来た.そして、二俣に出た.




小滝




小滝 気分良く遡行出来る

 迷わずに右を選んだが、沢の水はかなり少なくなっている.4−5mの滝を二つ越えると、ほぼ源頭に近くなり、これまでゴルジュらしき物や、やや大きい滝等は殆ど無かった事に不思議さを感じながら、尚も足は上を目指していた.高度を確認し地図で自分の位置を確かめたが、最初から黒沢右俣を遡って来ている積もりだから合う筈がない.更には、支沢があちこち入り組んでどれが本流かも判らない始末.高度は既に1100m近い.

 又、二俣に出た.こちらも迷わず右に入って行った.仕方がない、時間も早い事だし此処は一旦尾根まで上がり最初の左俣に下降する事にした.沢は更に高度を上げて行く.水はもう殆どない.又、二俣に出た.水が無いから選びようがないがやや広そうだけど右を選ぶと尾根からの下降点が遠くなる.

 自明の理で左を選ぶ.少し行くと又二俣だ.そこに鹿がいて真ん中の斜面を駆け上がって消えて行った.右はガレ沢で左は5m位の滝だ.水を僅かに落としていて、水は下のガレの中に消えている


今日は天気が良いのだねえ.



二俣、右は広いが左を選ぶ




左の涸れ滝を登る.右は鹿が登って行った斜面

 滝は手掛かりが豊富にあるから簡単に登る事が出来た.滝の上は苔や背の低い草が生えた河原になっている.適当な所で尾根に至る斜面に取り付く事にした.正面上を見ると、涸滝がある.と、思いもかけない物を見て一瞬「何でこんな物が?」と、状況を理解出来なかった. 

 アルミ色をした三脚と、カメラバッグが置いてあったのだ.そう、落ちているという形ではなく、誰かが此処へ一旦置いていった様な状態なのだ.道路が上にあれば、誰かが投げ捨てるだろう.冷蔵庫とか、テレビとか、布団だとか.周りにそういった捨てられた”ゴミ”は一切ない.苔の生え具合から見るとかなり月日は経っている様だ.失礼してバッグの蓋を開けて見ると、カメラが2台、レンズと共にきっちり収められている.

 「ただならぬ事態」なのだと感じた.

 上を見ても道などある筈がない.左から鹿道が下りている程度だ.右は笹の急斜面.後ろも前も(水はないが)滝.後ろを振り向いて戦慄が走った.土砂に少し埋まっているが黒っぽいトレッキングシューズの片方が落ちていたのだ.これ以上観察する事は止め、周囲をいくつかデジカメで撮影し、早々に立ち去る事にした.



中央、黒いのはスニーカー(片一方だけ) この時は判らなかったが、
左側に人骨(頭)が写っていた(少しぼかしてあります)



三脚とカメラバッグ


尾根に向かって登る
  戻ろうか!と、思ったが此処は尾根まで登った方が近い.ましてや、戻る途中”何か”を見つけてしまったら・・・と思うとその気になれなかった.斜面は笹藪だが鹿道がほぼまっすぐに登る様についていた.一気に尾根まで登ると踏み後があった.それを辿って小高いピークに登ると、向こうに半月山が見えた.

 適当に検討をつけて、下降点を決め登って来たのと同じ様な笹藪の急斜面を下降していったら、やがて湧き水のある所に出た.ザックからペットボトル(水)を出した.ぬるかった.辺りを見回し、何も無い事を確認して、(湧き水で)喉を潤す事にした.冷たく一息つけた.そういえばお腹に何も入れていない.まもなく正午だが空腹感はまるでなかった.

 下降した沢はやがて水を集めて多くなって行くがずーっと平凡な流れだった.二俣出合い付近に2−3mの滝が続く程度だった.途中、広く明るい場所で弁当にしたが、アブとハエとトンボの群れに襲われ落ち着く事が出来なかった.その後自然急ぎ足になり下っていった.此処が、黒沢でないこと等は考える余地もない.そのまま足尾警察署に車を走らせた.


湧き水


写真も撮る気になれず、こんなのを少しだけ・・・
捜索編はこちら  Photo Panasonic DMC-F1 

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当レポは
写真撮影だったり適当に歩いたりで、時間やルートは参考になりません.
仮に当レポを見て行かれる場合は予め情報を収集していただき、計画を
充分に立ててから実行して下さい.