滝見

日光市
上タケ沢上流
(4回目)



                  



2018,5,11 訪問


(ルート、時間は参考にしない事)
              
 上タケ沢(上滝沢)には比較的訪れやすい25m大滝(仮にF1とします)がある.そのすぐ上にはF2(30m)があり、次のF3(25m)は(故motoPさん曰く)円形劇場だという.下から登るのは私にとっては不可能なので、上へ直接行くしかない.そう思い、最初は下タケ沢と上タケ沢の中間尾根を登り、適当な所からトラバースしてみたけど、敢え無く敗退(その時の記録リンク切れ).

 2度目は、1度目と同じルートで何とか上タケ沢の本流に降りる事が出来たが、時間が掛かりすぎて支沢の段々滝を確認出来ただけ.熊に吠えられ這々の体で逃げ帰って来た.

 3度目は渓泊まりし時間を充分に取って臨んだはいいが下降点(これは間違っていたのだけど)が厳しくあっさりと諦め、三界岳の裾を巻く様にして帰ってきた.この時は下降中道迷いしてビバーク.プチ遭難もどきで帰ってきた.この時点で上タケ沢上流は完全に諦めた筈だった.

 それでも、何度も読み返している motoP さんの記録で ふと気がついた.F3の高巻きで、”直登”とはせず”斜上”と表現しているのだ.

 ”直登”は、あの壁を登って来ているのだから私には無理.但し”斜上”だと、尾根か斜面か沢形を登ったということではないだろうか?(記録には 「斜面を斜上」 とあります) ちょっと想像してみたが判らない.これは、行ってみるしかない.今回4度目の挑戦である.


駐車地をスタート 6:40


浅い所を選んで鬼怒川を徒渉
 ルートを決定しなければならない.又、中間尾根から回ろうかと思っていた.地形図を見ながらいろいろ思案してみる.25m大滝があるのは1350m付近だ.右から通れずのゴルジュで支沢が合流している.この支沢はもしかしたら上流で涸れ沢になっている可能性が高い.等高線も下流側に比べやや広い.この沢に降りる事が出来れば次の活路が見いだせる(のではないかと思う).

 鬼怒川の水量は少ない.と言っても川幅はそれなりに広いし、長靴程度では水が入ってしまう深さの所もある.今日は殆ど沢歩きとは無縁なので、此処だけの為に沢装備をするのも、何だかな.裸足になって徒渉しましょう.天気予報では暖かい一日と言う事だが、水はさすがにまだ冷たい.渡り終える頃には足が痛くなってきた.

 上タケ沢や下タケ沢へ行く時、いつもながらの取り付き急斜面に閉口する.一汗かき、尾根に出て仕事道と別れ尾根を登って行く.GPSは常にON状態にして帰りに備え軌跡を取っておく事にした.

 はじめの内は勾配もそれ程でなく、藪も枯れスズタケくらいしかないから歩き易い.



藪のない尾根は登りやすい


枯れスズタケはプチプチ折れ、時々足などを傷つける



シロヤシオ(ゴヨウツツジ)満開〜♪




きつい斜面を登ります




トウゴクミツバツツジ?に癒されて・・・




 1100m辺りを過ぎると、急になってくる.枝尾根も無数にある.帰りも此処を通って来る予定だから、枝尾根一つ間違うとあらぬ方へ行ってしまい、相当難儀する.枝尾根等の下山で迷いやすいと思う所には枯れ木で目印を置いておき、一応帰路に備えておく.

 急斜面に喘ぎ 汗だくになりながら、1300m辺りを過ぎると勾配も緩んできて周囲に目を配るゆとりも若干出てくる.1386P付近で、辺りのシロヤシオや蕾が多いムラサキ色のツツジなどを撮影しながら休憩.水を飲んでミニチョコクロワッサンを2個食べ、カンロ飴を口に放り込んで登り再開.

 シャクナゲもこの辺りからは多く出て花も沢山咲いている.もし、目的地まで行き着けなかったらここら辺りで花見をしてきたというレポで誤魔化してもいいかな・・・等と思ったりもしてみる.



急登が終わり細尾根になり・・・


シャクナゲピークは東側を巻きます



シャクナゲピーク(1400m付近)




展望はこの辺りだけ手前は中間尾根、向こうに上っ原、間は下タケ沢




さっぱり判らん



西側はほんの僅かに、、太郎山かなあ


シャクナゲが綺麗です、と、ここは未だ余裕
 細尾根を過ぎてシャクナゲが尾根上を覆ってくるので歩きにくくなってくる.野門側に少し下り踏み後の様なものを辿って1450mを過ぎた辺りでGPSが警報音.電池残量がないとの警告表示.GPSを切り尾根に乗った.電池を交換しようといつも持ち歩いている予備電池入れを出そうとしたらザックの中に入ってない.え!?

 今日は長丁場に加え急斜面の登り下り、藪歩きなどを想定した為軽量にしてきた.持って来た物は、羽織る薄手のジャケット一枚.水、食料、ザイル20m、30m各一本.懸垂道具一式.テープ2本.カメラはコンデジだけ. 雨合羽などは置いて来た.偵察に徹しようとデジ一は持って来なかった.三脚も置いて来た.だから、予備電池入れも一緒に置いて来ちゃったのか.しまったな〜・・・ 仕方ない、此処からはポイントを取るだけにしよう.

 予定では、1697Pから北東に派生する尾根を下降する積もりでいた.所が、どうだ.ここ1500m付近の尾根上ではシャクナゲが前方を塞いでいる.これを突っ切って1697Pに着く頃には、下降する体力なんぞ残っていないんじゃないか.


シャクナゲ密生尾根を避け、野門側を歩きます


シャクナゲ自体は大きくなく、間に鹿道か踏み後があるので単純に追うだけ


こういう所はがむしゃらに突進


何処も踏み後に見えて来ます
 しばらく地図とにらめっこし、此処からトラバース気味に下降する事に決めた.幸いシャクナゲ藪にも切れ目が見えるし.

 下降を始めてすぐに短い岩場の下降.シャクナゲは消え、下の方にコバイケイソウの群落を見ながら快適にトラバースしていく.シャクナゲが密生している尾根を回り込み.少し下り、シャクナゲが切れた所で壁の上に出た.

 斜度もそれ程きつそうでないのと登り返しが出来そうなので20mザイルを使い懸垂下降する.下降していてちょっとビックリ.壁はザクザクの岩が積み重なった様な層になっている.乗っかったら崩れそうでおっかない.そろりそろりと下りて、そろりそろりとザイルを回収.下降して行くと又壁.今度のはかなり高い.

 東側に歩いていくとすぐに急な涸れ沢に突き当たり、対岸には樹林の斜面が見える.何だかそっちの斜面を下るのは案外楽に出来そうだ.鹿道も付いてない急で固そうな涸れ沢を横断出来なくても、20m位上に登れば涸れ沢は終わっているので回り込める.だが、まてよ!と、この涸れ沢の下方を覗き込んで見ると、下流に続かず途中で切れている.

 涸れ棚でもあるのではないか.その下は沢が分岐していて、本流 はそっちだろう.対岸斜面は、中間尾根と言う事になる.下りて行って涸れ棚や尾根末端で降りる事が出来なければ、登り返さなければ行けない.此処は、壁を降りられる場所を探しましょう.
 
 壁上から覗くと下の斜面まで15mかそんなものだろうが、上から見るとかなり高く感じる.更には、ハングしている所があるらしく壁がみえない部分も多くある.例え、空中懸垂で降りる事が出来ても、下で行き詰まり戻って登ろうとしても非力な私には無理.




トラバース開始してすぐに開放感のある斜面に出ます




なぜ笹とかの下生えはないのでしょう?




涸れ沢.25m滝のある右支沢(ゴルジュ滝)の上流1450m付近.真下がその沢の本流の様
此処は、その沢の右の枝沢で正面は本流との中間尾根.下流は棚になっている様な雰囲気
この時点で中間尾根を下れば案外楽に降りられると思ったが、横断はちょっと怖かったので止めた



一応ザイルを使って下りるが、なくても難しくはない


下りて又向こうは壁 今、立っている所は棚
 壁上の棚を戻る様に(ほぼ水平に)歩いて行くと、高さ10mちょっと位でハングしていない場所があった.懸垂下降で降りると、その下に又同じ様な高さの壁がありその棚の上に乗っかってる様な感じ.涸れ沢に降りられるかどうか見てみたが、岸辺がえぐれている崖になっているようで無理.

 下りてきた壁の下を巻く様に棚の上を北側に移動してみた.もし、下りることが出来なかった場合戻らないと行けないから、ザイルは一応そのままにしておいた.




戻る様に棚の上を向こうへ移動




振り返って・・・

 少し歩いただけだが、下の壁に殆ど下りられる個所はみつからない.時間は経過していくし、戻ってる感じでは精神的な疲れも増してくる.諦めるしかないかと思いながら一休みしミニチョコクロワッサンを食べ、水を飲む.

 少し元気が出て、探索を続けると上の壁の傾斜が緩くなり、フリーで登り返せる様な所が出てきた.棚は少しづつ狭くなり、上の壁の裾の様な露出部分を巻くと、下の壁が切れ楽に降りられそうな斜面が現れた.何とラッキーな事か.

 ザイルを取りに戻り、先程の斜面を下りて、下の壁を見上げながら基部に沿ってやや下る様に涸れ沢の方に歩いて行く.比較的緩やかな斜面の下に、涸れ沢の河原が見えた時はホッとした.




この壁の上にある棚を移動してきた.基部に鹿道が通っているのでそれを向こうに進むと




ヤッホー 緩やか〜♪




滝が見えます. 右から下りて来る中間尾根.右に涸れ棚.




ちょっと近づいて 正面は5m位 左は10m位

 下りたところは1370m付近.上流には5m位の滝があり、右岸にも10m位の滝があっていずれも水を落としている.足元の河原には水が流れていないので、殆どは地中に吸い込まれ、伏流となっているようだ.そして、右には涸れ棚があって、この上に(赤土の)涸れ沢が続いていたのだ.涸れ沢の対岸に見えた斜面は中間尾根となっていて、見える その尾根末端を下りるのは(私では)不可能に近い.そっちを下りて来なくて良かった. 

 あとは簡単だった.涸れ沢を3本横断し、4本目の尾根に上がった時前方に”円形劇場”が見えた.

 ぐるりと高い壁に囲まれ、本流の25m滝は水量が少ない.殆どは壁の基部付近から大量の水を湧き落としている.凄い光景だ.この下には30m滝がある筈.左のテラスに上がって下を見下ろすが、樹木に遮られよく見えない.(下の)右岸に見える白っぽいのは、支沢の滝か.

 下へ降りるには、右岸を壁の基部まで上れば、あとは鹿道頼りに下降すれば良いことが判った.下を見たい衝動にかられるが、此処は我慢.帰りだって時間がかかる.ゆっくりもしてられない.おにぎりを食べながら辺りをカシャカシャ コンデジに収め、ペットボトルに水を満タンにして引き返す.


3個所位涸れ沢を横断し、支尾根を回り込み・・・


あそこの支尾根の向こうは開けてるのか?



支尾根はすぐ上の壁から下りています
”斜上”とはあの壁に沿って登って行くのかな?



支尾根から下を見ると、、おお〜



円形劇場 右に大量の湧き水を落としているけど、レンズに入りきらない




これが、それ




下にある、(多分)30m滝の頭




ゴルジュ滝がある支沢の上流に掛かっている滝.水が流れていて7−8m位.下は狭いが河原になっていた




で、その頭. 滑るし怖いので近くまで行けない

 稜線までの登り返しは ことの外辛かった.ヘーヘーやっとの思いで稜線に登り着いたのは15:00過ぎ.それでも帰り着くのはヘッデンギリギリだろうと思って、少し安堵.休憩しオレンジをいただきます. ところが、、、

 シャクナゲ藪など多少難儀するところもあるけど、細尾根を過ぎ、ルンルン気分で1386Pの此処までは順調.その先の尾根分岐で間違えた.枯れ木で目印を付けておいたのに見逃してしまい、下り易い北西に下りてしまった.実は此処の尾根分岐は、2016年に通った時間違えた場所(その時は東に下りてしまった)なので、そっちへ行ってはダメ! という意識が若干働いたのかも知れない.

 まあ、この辺り景色なんて何処も似た様なもので、一休みし水を飲んでコッペパン(イチゴ味)を食べ、GPSを確認してみると 何と、下降予定尾根を大きく西側に外れ、気が付いた時には(地図の)丸い小ピークに向かってる尾根上1170m付近にいた.疲れた足で渓渡りのトラバース修正は、これ又辛い.ただ幸いなのは、GPSの電池がまだ持っていてくれる事である.それでも電源をいれては消し、尾根に出ては確認を繰り返す事が出来た.

 薄暗くなりかけ、仕事道に出て鬼怒川を渡る時はヘッデンを点ける事になった.


稜線に戻って来ました ヘロヘロ


シャクナゲ あまり癒されません(笑)



きの間から野門橋 ふう〜やっと帰ってきました. もうすぐ真っ暗・・・

 Photo Nikon P7800 二代目 

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当レポは
写真撮影だったり適当に歩いたりで、時間やルートは参考になりません.
仮に当レポを見て行かれる場合は予め情報を収集していただき、計画を
充分に立ててから実行して下さい.