◇ 滝見 ◇ 日光市 上タキ沢の上流をちょっとだけ 高度:1450m付近 2014年 5月 31日 訪問 爺 (時間やルートは参考にしない事) |
日光栗山の深沢上流は二俣になり 左、下タキ沢. 右、上タキ沢に別れている.どちらもそこそこ大きな滝があり滝写真屋にとっては魅力だが、ネックは沢の長さやその遡行の大変さだ.下タキ沢は第一から第四まで何とか行って撮影する事は出来た.一方、上タキ沢で撮影出来ているのはとっ初めゴルジュ内の5+25m大滝だけ.そこから上には(爺では)上がれない.沢屋さんの間にも険悪な沢として知られ、WEBでも極めて僅か.その中の2例は、ゴルジュ大滝の脇を投げ縄で上の樹木に引っ掛け吊り上がるという離れ業(motoPさん).手前の急峻なルンゼ(登れるのかあれ?)を登りトラバース(逍遙渓稜会のお二人) 素人の爺には土俵に上がるどころか遠くから見てせいぜい我慢と言うところ. 所が、見られないというと見たくなるのが人間の性分.直接遡(のぼ)れないならグルッと回って上から見られないだろうかと思案計画.※年前に下タキと上タキの中間尾根を登り敢然とトラバースを敢行.上流の沢へ降りるどころか遙か手前の涸支沢で追い返されてしまった.地形図だけで勝手が全く判らず、ルンゼ横断では上の涸れ棚に驚き、ザラザラ崩れる足元に恐怖を感じ下へ下へと避難もどきで安全横断場所を探した.結果、これが良くなかった.下へ降りるに従って、更に斜度は垂直そのもの.涸棚は連続で出てくる.(爺に)横断なんてとても無理な場所が多く、幾つかルンゼを横断しただけで時間切れ.ヒヤヒヤしながら逃げ帰ってきた. あの時はトラバース開始地点が悪かった.もっと、上の方(例えば1600m付近)からならもう少し楽ではないだろうか.ただ、あの中間尾根には藪が、それもシャクナゲがあり結構厳しく時間が掛かってしまう.なら、いっその事下タキ沢第4大滝手前で左岸支沢に取り付き、登れる所を登って中間尾根を乗ッ越す事にすれば、少しだが楽だろう.よし、これに決めた・・・と、ばかりに早速出発.早く家を出ようと決めていたが、きっちり寝過ごして3時半が4時半起きになってしまった、、、. 6:30出発 |
手前は野門沢、見えるのはその支沢 |
鬼怒川(右が深沢) |
前方、深沢出合ゴルジュ |
崩壊地近くのCS滝 |
堰堤下流の2条滝 |
深い釜を持つ小滝、落差はないが迫力はある 魚影は見えるが大きくない |
奥鬼怒への道を家康の湯方面に入りすぐ脇の空き地に車を駐め、支度をして野門沢出合いを徒渉し鬼怒川右岸河原を歩いて急斜面に取り付く.深沢は出合いに通過不能のゴルジュがあるので高巻くが、相変わらずこの斜面はきつくすぐに汗が噴き出てしまう.又、沢上流に下りてもすぐに小ゴルジュになり、靴を濡らさなくては通れないから、沢靴を履きトレッキングシューズはザックの中.滝等の撮影に必ず持っていくフイルムカメラ&三脚は、今回は偵察もどきと軽量化の為割愛.熱くなるという天気予報で薄い上着は持たない. 深沢唯一の堰堤手前で釣り屋さん2人と出会った.”お早うございます”と、軽く挨拶だけして通り過ぎる.二俣に着いてトレッキングシューズに履き替えたが、いつも靴下を二枚履くのにやや厚手の靴下しかない.取りに戻る訳にもいかないのでそれで済ますがまあ大事はないだろう(←大事はあった(汗)) 沢靴は一応木の陰に隠してデポしておく.中間尾根に取り付き下タキ沢左岸近くへ枝尾根を乗越してハタ!と思った.このまま第4大滝付近まで行くとすると前回は●時間かかっている.それから、中間尾根に登って沢へ下りる時間を考えたら、この中間尾根を登っても一緒じゃないか? 前回は勝手がよく判らずルート探しに手間取ったせいもあるので時間が掛かったのだし・・・ と、此処へ来て考え直した. |
二俣すぐの下タキ沢 7:45 |
歩き易く明るい樹林帯 |
下タキ沢側に寄ると壁が出てくる |
斜面も急になってきて・・・ |
シャクナゲもポツポツと・・・ |
まだこの辺りは歩きにくい程ではない |
急なルンゼ 9:15 |
シロとムラサキのツツジが、、、 |
登り始めて●時間、シャクナゲ藪が出てくるが右に左に小さく寄りながらかわして登り、思ったより捗る.花は咲いているが、概ね終わりそうでやや情けない姿だ.急なルンゼも前回と殆ど変わって無い様に見えた.そこを過ぎて尾根の上の密生するシャクナゲ藪の中に露岩がある筈だが、藪を巻く時一緒に巻いてしまったのか今回は見られなかった.ヤマツツジ(オレンジ色)は僅かしか無かったが、ムラサキとシロヤシオが沢山咲いていた.白い色やピンクの濃い色のシャクナゲが沢山咲いている.ただ、此処でも旬は過ぎていて廃れた花も多い.GPSで高度を確認しながら割と調子よく登って行くと、尾根は狭くなり大きなコメツガが前を塞ぐ岩場に出た.その向こうは鞍部へガクンと落ちていて(5m程だが)下りる事が出来ない.ザイルでも空中懸垂になりそうなので、一人でそんな無理は出来ない.かなり戻らなければいけないと難儀やな〜 と、思いながら少し戻ると爺でもザイルで下りられる斜面があってラッキー. |
どっさり咲いていたが、イマイチ観賞の余裕が・・・ |
シャクナゲだが背が高く摺り抜ける様に登れる |
木の間から見られる光景 下流ゴルジュの右支沢だろう |
花は沢山咲いているのだが旬が過ぎている |
左のもっこりは多分1730m辺りの尾根分岐 奥右は2049P辺りか |
判り辛いが1450m南の鞍部を俯瞰 此処は下りられなかった |
ザイルで懸垂下降した所 |
左向にザイルで下り回り込んで1450m南の鞍部に出る 下から見ても登れそうにない 10:55 |
鞍部に着くと尾根の上はシャクナゲでビッシリだった.通過できない事はなさそうだったが前回トラバースをし始めた所より標高が高い所にいるので、一か八かを決め込み此処からトラバースする事にした.鹿道が縦横無尽に着いている藪のない樹林帯を歩いていくと早速涸れ沢が出てくる.この辺りではお決まりの様に上流は壁か涸れ棚、下流も涸れ棚になりそこから下は見えない.3つ目の涸れ沢は細かいザレキの斜面で足元からザラザラと崩れていく.下流にはこれまでと同じ様な涸れ棚があり、やはり下が見えない.距離にして数メートルだが此処は怖く緊張した.(但し、仮に滑っても涸れ棚の上のやや平たい所で止まると確信はしてるのだが・・・) 此処が一番大変で、その後(急なのだが)岩が多い涸れ沢を横断.枝尾根を回り込むと、コバイケイソウが生えてる緩やかな涸れ沢になり、更に枝尾根を越えると真下に沢音が聞こえた.上タキ沢の本流(上流)に着いたらしい. 但し、靴下を一枚しか履いていなかったせいか、両足の親指にマメを作ってしまった.先程から少し休んで歩こうとすると痛い.ま、我慢して歩くしかないか・・・ |
トラバースに緊張したザレ場 |
涸れ沢の上流は殆どが壁と涸れ棚 |
トラバース途中、安全を確かめてカシャッ |
涸れ沢の下流を俯瞰 |
涸れ棚の下が見えない |
・ 前回の帰りに通ったこの壁は特徴があるので覚えている |
後は緩やかな斜面を見つけて下りた上タキ沢は穏やかで沢幅は広く、あちこちに残雪が残り水が少なかった.取り敢えず下流に下りていくと、足元に白い花を見つけた.ニリンソウか?と思ったが、三つ葉なので多分カタバミだろう.山の中なのでミヤマカタバミか?すぐに滑滝の頭に出た.見ると滝の下は更に滝頭になっている様だ.縁が切れているのでハングしているのだろう.その両岸は崖だ.滑で(上流から見て)左から沢が合流していた.その支沢に入ってみると大きい滝が前を塞ぐ.見える所、2段30mを越える堂々としたものだ.上段は左から落ちているのでその上は見えない.ま、こんな源流帯だから水の少ないのは仕方がない.見られただけでも良い. 本流に戻り、縁の切れている滝頭に近づいて、その下流を俯瞰してみると更に滝頭らしきものが見える.その向こうは沢床など見えず遙か向こうの斜面が見えるだけ.残念だが爺ではそこの滝頭まで下りる事が出来ない気がする.時間はあまりないが、そこから本流の上流を少し見てみる.岩塊が積み重なり崩壊が激しい様だ.三俣状の場所から前方にはかなり横に長い壁になっているのが見える.足の親指が痛い事もあって、適当に切り上げたが壁と思ったのは本流の涸れ棚らしかったが後の祭り. 帰路は来たルートを素直に戻る積もりだが、あのザラザラのザレ場は出来るだけ通りたくない.出来るだけ中尾根に近い上の方へ登り返す事にした. |
やっと上タキ沢上流に下りる事が出来た 12:30 |
滑の支沢 |
支沢、2段30m程の滝は水が少ない |
縁の切れた様な本流ハング滝・・・ |
その滝上から下流を見る すぐ滝の頭が見える |
前方に涸れ滝があるのだが、崖だと思って全体を撮ってなかった |
コバイケイソウの生える沢斜面(帰路) |
順調に戻り、コバイケイソウが生える斜面を横断して枝尾根を登り始めてすぐに”ガオガオギャーギャオ”(←表現はイマイチだが(汗)) どうやら熊の吠え声らしい.初めて聞く声は大きく、乾いた音とドスの効いた音が混じり合ってるものだった.ビクッとして立ち止まり、辺りを見回したが姿は見えない.一瞬汗が引き、さすがにビビッた.枝尾根を登るのは止めてそこからトラバースする事にした.幸い、壁(又は涸れ棚)の上に位置している様で、難しさはなくトラバースは楽で、中尾根に着いた所は標高1480m付近の鞍部っぽい場所だった. あとは、中尾根を降りていけば終わりの話だが、足の親指が痛くそれでなくとも鈍足に拍車をかける.ヘッデンも覚悟しつつ難しい所はないが、藪を避け尾根から外れて下りたら広い斜面で方向を誤り下タキ沢側に下りてしまっていた.しばらくして樹間から下タキ沢右岸のナギナタ岩が見えた所で気がついた.大きなミスにはならず、下降気味にトラバースして中尾根に復帰.二俣に下りて沢靴に履き替えて深沢を降る.幸いヘッデンは使わずに済み車に着いて靴を脱ぐと、マメは破れ皮が剥けていた. ◆ 二俣着17:10 駐車地18:40 |
当レポは
写真撮影だったり適当に歩いたりで、時間やルートは参考になりません.
仮に当レポを見て行かれる場合は予め情報を収集していただき、計画を
充分に立ててから実行して下さい.