◇山登り◇

那須塩原市
男鹿岳

おがだけ:1777.1m

                  



2013年 6月 1日 訪問


(時間やルートは参考にしない事)
              
 この山へ登るルートは福島県側から登るのが最もポピュラーで、多少の藪漕ぎを伴うがリボンテープなどもあって判りやすいという.残雪期には藪が雪の下に隠されるから歩き易くもなるという.以前は県境の大川峠迄(福島県側から)車が入れたらしいが、現在は南会津町の水無川二俣近くのゲートから大川峠まで林道を歩くようだ.約2時間位.栃木県側からだと、塩那道路の土平又は板室から長い距離を歩かなくてはならない.ただ、こちらからなら、取り付きから山頂まで踏み跡があるらしい.どちらも一長一短.

 昨年11月3日、一度板室側から登ろうと計画.車で入れる場所が元のゲートから少し延びている所まで来たが大佐飛山方向はどんより曇った雪模様.風花が駐車場まで吹き付けてきて、こら駄目だなとあっさりあきらめ塩原の新湯冨士へ変更してしまった.紅葉がとても綺麗な時期だっただけに残念な思いがして、その時期以外では塩那道路をエンエンと歩く気がしない.一方、栃木百名山なんだから福島側から登るってーのは、拘りの意志に反する.(おいッ、荒海山は福島から登ったんだろ!) ・・・・・突っ込みも私の意志に反するのだ.

 同じ藪を漕ぐなら、栃木側からルートはないか? ある、数年前に
山部さん「栃木の山283+」が横川から県境稜線に登り、男鹿岳に到達されている.困難、難儀、苦労などという言葉しか浮かんでこない.尾根、稜線筋はそれ程厳しい藪が予想される.では、沢伝いに歩くってのはどうだろう.男鹿川を詰めると瓢箪峠の北に出るが、ちょっと離れてしまう.しかしこの支沢には男鹿岳から源を発しているのがあるから、「沢=藪は上の方だけ」根拠のない屁理屈で、藪歩き(&漕ぎ)は最小限になる.ついでに上流にある滝マークも確認しておこうか.


ジョブス男鹿のキャンプ場 6:15


とにかく橋が多い林道、最初の「男鹿橋」


尾ヶ倉沢の右岸林道分岐、とっぱじめで崩落している


綺麗な滑滝.高さはないがゆっくり撮影に訪れたい


立て札が賑やか


男鹿川を下に見ながら
 今日の天気は良いという予報.福島側も概ね晴れ.それでも装備としてはカッパ上下はザックの中.ザイルも入れた.救急セット、ヘッデン、ツエルト.食料は万一ビバークに備え多めに詰め込む.往復、中間の林道歩きが長いからそこはトレッキングシューズ.沢は良く滑る様だからいつものアクアステルスを入れておく.入れて・・・
あら?ザックに入らない.この水色のザックは小さいのか.赤いのを持ってくれば良かったが仕方がない、アクアで通すしかないか(あ〜あ、一度でいいから完璧スタートをしてみたい(涙)). 途中林道歩きは省略.

 白滝沢出合を過ぎて本流沿い林道を歩いていく.立て札が賑やかな林道分岐を歩いて行くとやや開けている.右下に男鹿川の滝マークがある滝を見る.下に降りてみようかと思ったが、これから先がない.あまりない体力を使うのは利口でない.じっくり撮るのは後の事にして、先へ進む.赤錆の桂沢橋から見る「桂沢」は水は僅かにあるがその上流では涸れ沢になっていた.次に出合う沢は「高泉沢?」、高泉橋だからそうだろうと思うがこちらは桂沢より水が多く流れている.地形図を見ると厳しい等高線はないが、得てしてこういう沢に美瀑が控えているものなのである.いずれ探索の余地有りだ.そう言えばハルゼミが鳴いているのにこの辺りで気が付いた.


男鹿川上流の滝マーク 7:30


その上流にも滝があった 8:00


歩き易い林道も此処まで 8:15


沢を歩く


沢を歩く!

 同じ様な光景の林道歩きに少し退屈してきたが、それでもヤマドリゼンマイやクサソテツ(コゴミ)の群落を見たり3−4m程の滝があったりでそれなりに面白い.「胡桃沢」(これも胡桃橋があるのでそうだと思う)を過ぎて次の橋にプレートはなかった.欄干兼用のガードレールには取り付けられる穴が空いているので、プレートはあったんだろうが外れてしまったのだろう.この支沢には結構水が流れている.この橋から15分程歩いたら道が分かれていた.右は藪っぽくなり、左は行き止まり.此処で少し休憩し渓流スパッツを着けた.

 右の笹藪の中に踏み跡に入って行く.これが続いてくれれば有り難いのだが、山部さんの記録通りまもなく道は無くなってしまう.崩壊している所は高巻きなのだろうか? 上に行くのか下を選ぶのか踏み跡はハッキリしない.此処からは沢の中を歩く事にした.沢は平凡なゴーロだったり、滑だったり、両岸ともやや広く鹿道がある所はそれを追い.滑の小滝は快適に登って行く.標高1190m付近に来た時、草むらに極めて新しい熊の糞があり危うく踏んづける所であった.寒い時期なら湯気が立っている様な感じ.鈴を再確認して先へ進む.

 この前からそうだったが沢から左岸を見上げると台地状になっている様で、もしかするとそこへ登ったら林道があるのではないかと思われたが、確認するには結構登らなくてはならない.あれば、ラッキーだが(道が)ないとガックリくるのでそれは止めた.地図で林道が横断する辺りまできたがそれらしい形跡はない.ただ、左岸から鹿道が斜めに降りているだけだった.

熊の真新しい、ンコ
見たい物好きな方はコップにカーソルを!


沢の様子(1150m辺り)


捨てられていた波板トタン


支沢滝 9:45


林道跡に飛び出た



地図にもある(林道)クネクネの頂点
GPSでは1330m付近
 そろそろ目的の支沢が右岸に現れる頃だと、見逃さない様に遡行していく.沢は少し狭まり、左にカーブしている所に差し掛かると滝の頭が見えた.え!滝があるのか? と、近づくと沢に突然波板トタンの残骸が現れてビックリした.昔、近くに飯場でもあったんだろうか? これまで、沢に入ってからはペットボトル、空き缶、ゴミの類を殆ど見てないので、、、あ〜あ.
 
 滝は右支沢だった.滑滝で見える所2段10m位.その上には傾斜の緩い滑が続いていそう.それが見える位置に移動しようとして対岸に渡り少し高い所に登ったら、それは林道だった.上に続いていたが藪模様になっている.沢に一旦下りて僅かに上へ行くと左から沢が合流していた.此処からまだまだ水の多い本流と分かれ支沢に入って行く.結構多いと思った支沢の水もどんどん少なくなっていく.左に広場みたいなものがあり、上がってみると道が下から続いている(地図にもある)林道の終点だった.


支沢の様子 結構急で、上に一番目の涸滝がある


2番目のCS涸滝 10:30


3番目の滝上は緩い傾斜の滑(水は無い)


この辺りは藪はまだ薄い(1580m付近)


チクショッ、チクショッ


コン竹ショッ(笑)


オアシス


稜線藪、笹+灌木(1740m付近) 12:20

 水はすぐに無くなり急な涸れ沢だが藪はないから快適といえば快適.が、沢が急なら出てくるのはお決まりの滝だ.一番目は4−5mの滑滝.岩が半分以上苔に覆われているが、溝があったり途中草付きだったりで簡単に登る事が出来た.二番目は滝頭にCSを持つ3m程.右の岩に足を乗せ、木に掴まって身体を持ち上げ楽にCSの前に出たが、此処を横移動する時少し難しかったのでやや緊張した.3番目は3m程だがとても登れず左の笹藪を巻く.その上は苔の生えた滑沢になり笹が両岸から覆い被さる様になってきた.
 
 藪がひどくなり、右に逃げていくと藪のないルンゼがあった.汗をかいた身体に小さな虫が沢山まとわりつき煩いので休みたかったが落ち着かない.ルンゼも藪の中に消え、いよいよ本格的笹藪だ.覚悟を決め掻き分けながら直登していく.背丈以上のチシマザサが段々密になり登るこちらに向いているから、厳しい.大佐飛山のそれより太いから抵抗もある.呪いの言葉を発しながら喘ぎ喘ぎガサガサ登っていく.疲れて休むと虫がワーーーン.倒木の上だったり、オアシスだったりはあるが、すぐに又藪である.

 稜線っぽいのが上に見えると、そちらへは行くまいと思っていても、あの明るい所では藪が少ないのではないかと、希望的.遭難者の心理ってこういうのかも知れない.(山部さんの記録で稜線は激藪と知ってはいた) 稜線に向かってやや北東に登って行くと、沢形に残雪があって藪が切れていた.おお〜、これを上に行けば結構藪漕ぎなしで頂上近くまで行けるじゃん.と、お気楽観測.あっという間にそれも終わる.挙げ句の果て、稜線の密笹+灌木が・・・・頂上は向こうに見える.がまんして、我慢して、、、.目の前の細い木に赤いテープを見た時は2日酔いが突然醒めた時の様.


大川峠からの合流(赤テープがあった)


男鹿岳山頂 12:35


山頂の三角点


塩那道路方向への踏み跡があるが画像では・・


塩那道路に無事着 13:20


塩那道路(丁度カーブの所が取り付き)
 ポッカリと二つの空き地がある頂上には三角点と標識が全部で5枚.山部さんのは少し探してみたが何故か無かった.コンデジで撮影し、お昼も過ぎているので食事にしようかと思ったが、たちまち虫が寄って来るので水と小さなレーズンパンを食べて凌ぐ事にした.此処からは塩那道路に降りるまでしっかりした踏み跡がある筈.藪を漕いできた足には実に快適である.所々に残雪があり、誰かの足跡があった.崩れてないので今日の少し前のものだ.帰りの様な跡もあるので、塩那道路からの往復かも知れない? 稜線は展望が良く、那須連山から大佐飛山などが良く見えた.一部不明瞭な所もあったが、特に迷うようなことはなく塩那道路に降り立つ事が出来た.下りがあるのでホッとする事は出来ないが、取り敢えず瓢箪峠迄行ってお昼にしよう.

 大佐飛山への取り付きを見て、昨年の事を思い出しながら瓢箪峠は2年振り.スペースハウスも殆ど変わっていない感じだ.誰もいないし、誰も来ないだろうから地べたに座り昼飯(サンドイッチ)だ.缶コーヒーは冷たくはなくなってしまったがうまい.風もなく気候も穏やか.いつの間にか虫もいない.気分はハンペ、、、いや、最高.


那須連山 中央「沼原貯水池」


大佐飛山


雪が被っているのは会津駒ヶ岳?

左に名無山、塩那道路が電光型に


塩那道路 記念碑 13:50


瓢箪峠の広場(塩那道路から)


白滝沢源頭を探してみるが、、、14:30
 此処でゆっくりしていたいがこの先も長いのでそうもしていられない.瓢箪峠を横川方向に進むとちょっとした広場の向こう、笹藪になる.一昨年来た時より密になった気がする.此処から白滝沢の源頭に下りる訳だが、この笹海原では沢形を見られない.尾根先端と思われる場所へ立って北西方向を眺めると、顕著な沢形が上の方に向かって延びているのが判る.そっちに向かって笹藪を掻き分けて行き、笹の中の窪地に落ちない様に笹の中を覗き込むと、Uの字の沢形に残雪が見える.笹を掴んで下りて、上下方向を見る.藪はない! 少し急だが残雪を滑落しない様に注意して下りていくとすぐに雪は消え、ガレ沢の地肌が現れる.両岸は狭く急なV字になってくるが涸れ滝などはなく、又、所々笹が覆い被さってくるが下降に支障はない.

 1450m付近まで下降してきたら、突然広い場所に出た.水音もする.大きな木があり傍の倒木は絶好の休憩椅子.何故か虫もあんまりいない.ちょっと下の水の音は、細い急な沢が左岸から落ちている水の音だった.少ないペットボトルに水を汲み、早速飲んでみたが・・・あはは、その前に雨を舐めていたので冷たいだけで味は判らない.取り敢えずボトルを一杯にして、ちょっとエネルギーを補給し下降を続けると沢に流れていた水は100m程で地中に消えてしまった.


白滝沢源頭に無事着地


沢の中に水は無いが藪もない(1620m付近)


少し広い所(こちら側)に出た 14:55


水が流れ落ちている小沢



倒木の中から大量の湧き水、中央に流れるのは
上からの沢水


トラックの残骸


白滝沢下降中見た滝


苔が綺麗だね〜
 右から水が流れている沢を合わせ、さらに下ると大量の湧き水があり沢は水が更に多くなった.すぐ下に滝があり、すぐ上流の同じ沢とは思えない程水が多い.この後藪の心配もなく林道に上がる事の出来る時間も明るいうちに、、と、何となく余裕も出てきたので水音を聞きながらの下降は順調に捗る.ニリンソウやワサビなども目の保養になり、あれ?こんなのあったっけ、、、とその前の自分が焦っていたのではないかということを感じる.

 しっかし、山行に一度は襲う魔の手.ひょいっと飛び越えた岩に右足のお皿を軽く当ててしまった.軽く当たった積もりだったが、すぐにジワァ〜〜ンと痛みが襲ってきた.折れたとか割れたとかそういうのはないのだが、一瞬歩けなかった.ぶつけた岩に座り込み、痛みが惹くのを待ってズボンをたくし上げると擦りむいていて血が滲み出している.救急セットから消毒液を出し振りかけたら痛いのなんの・・・.大きい傷パッドで手当をし、しばらくはゆっくり下降して行くが、右足をかばいつつ歩いていた左足太ももが、攣った.泣きっ面にハチとは正にこの事.日頃、行いがいい筈なんだけどなあ.休むと益々攣る範囲が広がる気がするので、そのままゆっくりと歩く.その内、右も左も何とか落ち着いてきて良かった.


この滝の脇から林道に出られた 16:10


壊れた橋B


壊れた橋A
 これまで落差の大きくない滑滝などはあったが、前方が切れ落ちている.少し大きい滝があるようだ.ちょっと嬉しくなり近づいてみると5−6mはあるかも知れない.この滝もいずれ再訪しフイルムに収めなければならない.コンデジで簡単に撮り、下りられるかどうか辺りを探すが、此処には左岸に(鹿道ではなさそうな)顕著な巻道があった.辿って登ると、いきなり林道に出た.まだ(林道に)合流しないと思っていたのでちょっと驚き、同時に沢歩きから解放された事にホッとする.やがて壊れた橋Bに着き、此処は支沢を徒渉.一昨年通って様子が判っている林道はゆっくり歩いて帰る事にする.壊れた橋Aは注意して通り、この廃林道終点からガレ場を下りて使用中林道に出る.此処からも結構長いので急いでもしようがない.のんびりと歩き、ジョブス男鹿の前でスタッフ3人と軽く挨拶をかわし、駐車地に着いたのはは18時位だった.

当レポは
写真撮影だったり適当に歩いたりで、時間やルートは参考になりません.
仮に当レポを見て行かれる場合は予め情報を収集していただき、計画を
充分に立ててから実行して下さい.