◇滝見と山登り◇
日光市(川俣)
伊勢沢〜平五郎山

へいごろうやま:1,700m
                    



2009年8月9日 訪問

単独
(時間は参考にしない事)
                           
 みるからに流域が長い無砂谷.その上流は多くの支沢に分かれ、大きな滝こそないもののそこそこ魅力的な沢が多い様である(参考=帝釈山塊の沢[白山書房]).しかし、アプローチが長い上にアクセスが良くない.無砂谷(左岸)林道は狭く4駆必須.地図にある周回林道は荒れているらしい.

 ま、荒れていても以前は車が通る林道であるからは、崩壊ヶ所が多々あるとしても徒歩で通るには藪尾根を歩くより遙かに楽である.そこで、今回はその林道の様子とせっかくだから手前にある伊勢沢を遡行し尾根を乗越して平五郎沢を下降し、林道に出て帰着しようというもの.問題は天候と駐車スペースが確保出来るかどうかだ.お盆前とはいえ、日曜日だし無砂谷沢は釣り客に人気の場所でもある様だ.

 川俣大橋を渡って右折し、舗装されていない林道(あれ?林道の名前はなんだっけ?)は水溜まりが多く出来ているので凹凸があり走りにくい.無砂谷橋を渡り、馬坂林道への分岐を無砂谷林道へと分かれると、両側から草が覆い被さり掻き分ける様にして走るがまるで歩く速度だ.路面が良く見えないから仕方がないのだが、駐車スペースまでのそれ程でない距離が実に長く感じられた.


 駐車スペース(無砂谷2号橋の手前)には誰もいなく、安心して駐められた.が、凄いアブの大群のお出迎えだ.一応、虫除けスプレーを使ってみるが古いからかあまり効果が無い様である.ここはさっさと支度をして出掛けるに限る.曇っていた空も所々青空も出て、熱い陽光が降り注いできた.
■写真左
橋から無砂谷沢下流


■写真右
いせざわ橋
8:50

■写真左
最初に現れた3m滝


■写真右
手前に苔の生えた岩がある滝
9:15
 無砂谷2号橋からみる無砂谷沢は橋の上流に堰堤があり、下流は沢幅一杯に水が多く流れている.一部崩壊している(荒れた)林道の脇には、ピンクと黄色のツリフネソウが、今朝方まで降っていたであろう雨の滴を保って咲いていた.10分程で「いせざわ橋」に着いたが、藪と木々の間から見える「伊勢沢」の水量はそれ程多くなかった.藪沢でないだけ、助かるが(笑)
 沢に下りて暗い樹林の中を少し遡行すると、3m程の滝があり手掛かりが豊富な水線の右を登って上に出る.続いて手前に苔の生えた岩を配する3m滝、此処も右を登って行く.
 2条2段3m+3m滝は階段状になっているので左の流れを.その上は穏やかになり、林道が横断する場所が近くなってくると、(トラックの)タイヤとチューブが4−5本づつ捨てられている.車で来て工事したんだろうから、車で持って帰れるだろうに.多くの人達の飲料水にもなってるんだぜ・・・・


  やや、気分を害したが気を持ち直して林道を横断し、滝を求め上流へと遡行するが沢は平凡のまま二俣に着く.もともと少ない本流の水、どちらもほぼ同じ水量で分けている.ここは、やや勾配のある右俣を選んだ.大した変化もなく、300m程で又沢が分かれている.此処は左側が2:1程なので左俣に遡っていく.
 突然、目の前にポンッと滝が現れた.4m程の滑滝の奥は暗いゴルジュになっていて、5m2条滝がかかっていた.相変わらずアブも多いが、エネルギー補給も兼ねて休憩がてら何枚か撮影する.

■写真左
2条2段滝


■写真右
林道横断地点
9:35
■写真左
ゴルジュ入り口の滝
10:30


■写真右
草を踏み倒して何かが歩いた跡
■写真左
ゴルジュ内滝


■写真右
ゴルジュ内最上段滝
 休憩していて気になったのは、右の草藪斜面が斜め情報から何かが(何かが(^_^; )下りて来た様に草が踏みつぶされている.鹿はこうならないし、猪とかはこの辺りにいないだろう.滝右にガレ沢があるので、人間ならわざわざ藪を漕いで歩かないだろう.・・・・ま、いいか.
 滝の直登は出来ないので、右のガレ沢を登って上段の落ち口に出る.すると、その上に滝が続いていた.4m程で、光は樹林に遮られ暗いからデジカメは手振れだ.左の苔の付いた岩を登って比較的楽に上に出る.続いて4−5m程の滝があったが、これも楽に登る事が出来た.このゴルジュは4段の滝で構成されていた事になる.最上段の滝落ち口に立っても、ゴルジュは屈曲しているので全体は見えず、高度感はない.
 渓はV字(と言う程険しくないが・・)になり、底は細く両側から草が覆い被さる様になってきた.少し左に曲がると細く落ちる2段の滝があった.左の泥付き斜面をズルズル滑りながら、小さく巻く.この頃から、弱い雨が降ったり止んだりし日も出たり隠れたりだ.

■写真左
細い2段滝
10:50


■写真右
藪が深くなってきた沢
1480m付近
■写真左
登る途中の左岸斜面


■写真右
尾根到着(1600m付近で北東尾根から東に派生している場所)
11:40
 沢は穏やかに(というか、水が少なく)なって、藪沢の気配が強くなる.1450m付近の二俣は右に進む.背丈のある草が益々細い沢に覆い被さってくる様になり、潜って掻き分ける様にしながら高度をグングン上げていった.1550mを過ぎると水も殆どなくなり、沢は完全藪化となってしまったので、左岸尾根に上がる.かなり急で膝程度の「ミヤコザサ?」藪だが、斜めに鹿道が付いている.それを辿りそれ程苦労もせずに尾根に着く事が出来た.
 少し緩やかな尾根(1630m付近)はそこそこ太いブナ林になっていて明るく美しい.大きく回り込んで平五郎沢に下りようと思ったが、此処から平五郎山までの距離も標高差もそれ程でない様だ.頂上を踏んでから、平五郎沢に下りるのも悪くない.北東に延びる尾根には踏み後もあるかも知れない.
 膝上ほどの藪は歩くのに支障はない.だが、北東尾根に着いて踏み後もテープの類も見つけられなかった.それでも、そのまま頂きを目指せば良いだけで、難しい事は何もない.グングン快適に登って行くと、頂上に近づくに従って、チシマザサの胸程の藪になってきた.おまけに雨も又降ってきた.
■写真左
胸までの高さの笹藪


■写真右
平五郎山、頂上
12:20
■写真左



■写真右
平五郎沢を林道から確認したが水が少ない・・・
 頂上は針葉樹林(コメツガ?)に囲まれ展望は殆どない.東側に少し開けている場所があったが、ガスが出ていて殆ど見えない.三角点と、どなたかが付けた標識をデジカメに納め帰路に着こうとして、テープをみつけた.その下には、笹の中に埋もれた頭の丸い祠が静かに佇んでいた.
 帰路、足元にテープと踏み後をみつけ北東尾根から平五郎沢に回ろうとしたが、猛烈な雨が降ってきて、気が削がれた.そのまま、尾根の踏み後を下り、林道跡に出たが終始雨の中途中の泥付き急斜面で事故! 足は沢靴なので濡れた泥付き斜面良く滑る.何度か滑ったが、その内の一回が、杖をついて身体を持ちこたえようとした.これがいけない.杖は土の中に潜り込んでそのまま体重がかかり、杖は弓なりになった.杖を持つ手は雨に濡れていたので、滑って杖から手が離れてしまった.思いっきり杖にかおが近づいていったのと、弓なりの杖が戻ったのと同時.「バッチ〜〜ン、、、!!」と右上唇を引っぱたかれてしまったのだ.


 グオオオオッッッ、、、震度12強(ってあるか)に匹敵する衝撃.あまりの痛さに又ソーナン節か!? と、過去の悪夢が・・・・.しかし、傷もなくホッとし頬を抑えながら涙目で林道に無事下りた、、、が、差し歯がどこかへ吹っ飛んでいた.(間抜けな顔に磨きがかかった.歯医者にいかなくちゃな〜〜あ〜あ) ※2012年現在は入れ歯でバッチリになってます(笑)