◇滝見と山登り◇
日光市足尾
大平山(松木山)

おおひらさん:1,959m
                    



2009年8月23日 訪問

単独
(時間は参考にしない事)
                           
 林道終点から沢に下りて最初の堰堤(堰堤自体は下流に数多くあるが・・)に貼り付けてある銘板を見て”あれッ?”・・・  
 今日は「足口沢」を見る予定で来たし、林道も持っている資料の通り間違いなく歩いてきた筈である.それが、銘板では
「淀沢」になっていた.


 
好天の日曜日、三川ダム駐車場を出久蔵沢沿いに林道を歩きすぐに左へと道を分け、安蘇沢林道を行くと、途中の大きな堰堤で補修工事(でしょう)が、行われていた.大型重機が堰堤の上に留まっていたが、この広くはない林道を大型トラックで運んできたのだろうか.
 少し進むと、林道は戻る様に曲がり、山腹を巻いていく.この林道は以前カラ沢大滝を見に来た時通っているが、その時は自転車だったのであまり景色を良く覚えていない.ただ、途中に見晴らしの良い場所があった事は記憶していた.



 林道は暑く風もない.沢山の黒っぽい蝶が飛んでいた.撮ろうと思ってもみたが中々留まってくれない.留まったのに近づくとすぐ飛んでしまうので撮るのは諦めた.
■写真左
安蘇沢(久蔵川の二俣から15分程の付近)
8:00


■写真右
赤倉の煙突が見えるのだが・・・
■写真左
沢に下りて現れた6−7m程の滝


■写真右
上部に林道の様なものが・・・
10:05
 標高1036m付近、足尾の煙突が良く見える.その向こうの三角の山は、よく判らないが地蔵岳(柏尾峠)かも知れない.景色を楽しみながら林道をゆっくり登って行く.細い滝を架ける沢を横断して間もなく林道終点だ.かなり下にあった沢(足口沢と思っていた)が、すぐ下に近づいている.
 林道の終点には堰堤があり、それ程古くない銘板がはめ込まれている.それを見ると、何と「淀沢」と銘打ってあるではないか.沢を間違えてしまったか??? 久蔵沢も安蘇沢も林道も間違えようがないのに、、、足口沢でないとは??? 地図を確認する事にして、眼鏡をウエストポーチから取り出そうとして・・・・取り出・・・・眼鏡が何処にもない!?家を出る時はちゃんと持って助手席に置いた筈だ.あ、助手席・・・か.しまったなあ.地形図が読めない
 ま、沢を遡るのだから間違えようがないし、GPSは画面を拡大できるので何とかなるでっしょ.(しかしッ、GPSは補助的になるが、地形図と合わせて使用する事で鬼にカナブンブン)と言う訳でもともと脳天気爺だからサラッと切替、沢に下りた.上流に向かって歩き出すと2段6−7m程の滝があった.ホホッ、さい先が良いではないか.

 休憩がてら、6m滝前で撮影を楽しみ何やら右岸滝下を見ると、機械の残骸が埋もれている.・・・?、滝の右を登りバンドを伝って滝上に出る.上段2mは左の水線を上がった.その後、連続する滑滝が続き、快適に遡行できる.両岸には、リョウブがまだ白い花を咲かせていた.この山域はリョウブ林になっているようだ.造林されたものだろうか.
 綺麗な小滝を撮影しながら、遡っていくと所々沢の中に工事ゴミが落ちていて気になった.1140m付近で二俣になり同じ様な水量なので、どっちへ行くか迷ったが、右の方が(沢が)長そうなので右俣へ行く.広い河原となり、水は右の崖との境を流れていた.この広河原にも結構工事ゴミがある.
 沢を左に折れると、前方に壁が見え何やら土留めとかの様なものが見えた.へ?何だあれは.林道っぽい感じもする.ははあ、これらのゴミはあれの工事の時に捨てられたものなのか?その壁下に近づきながら変に合点がいった. そこから沢は左にやや直角に曲がっている.

■写真左
3段8m滝(下段は3条)


■写真右
中段と上段チムニー滝
■写真左
堰堤だよ〜(-_-;


■写真右
堰堤の工事現場事務所
10:45
 沢を曲がると、水が勢いよく流れ落ちる滝があった.3段で8−10mというところか.上段は岩溝の中を落ち、下段は黒い岩肌の3条滝でなかなか良い.が、崩れやすい岩塊と岩屑の積み上げた足場は三脚を立てるのに苦労する.下段の滝下に立ち振り返ると対面崖の上に手摺りの様な木組みが見える.やはり林道があるらしい.うーむ、どこから繋がってるのだろう.
 滝は左から小さく巻いて簡単に上に行く事が出来た.滝上は滑の流れになり、岸辺にはトリカブトが鮮やかな紺色の花を咲かせていた.少し遡ると堰堤がでんッと聳えていた.げげっ、まだあったのね.溜息をつきつき、右から巻いて堰堤の上に登ると・・・何やら向こうの方に工事現場事務所(スーパーハウス)らしきものが見える.近づくと、堰堤の工事中だった.今日は日曜だから誰もいないのだが、足場が組まれ工事まっ盛りの感じである.
 さらに林道がぐるっと回り込んで延びている.何だか遡行滝見気分も削がれてしまったので、この林道がどこへ続いているか歩いてみる事にした.
■写真左
雨量計(?)広場から見る松木渓谷
右奥に皇海山


■写真右
雨量計かな
11:00
■写真左
尾根に一本のシラカンバ


■写真右
樹林内に続く踏み跡

ガレ場から松木渓谷
 工事現場事務所の脇を通り、尾根形を回り込んで涸沢(先程遡行途中での二俣左沢は急峻だった)を横断し、再び尾根を回り込むとパパッと開け、松木のジャンダルムがドカンと見えた.相変わらず凄い景色である.山側の方の法面を(網掛け)補修してある様でその上の方にアンテナの様なものが見えた.”そうか、これがネットで見た事がある雨量計”に違いない.そうするとこの尾根は大平山に登る松木川の主要ルートなのだ.きっと、踏み後やテープもあるだろう.んじゃあ、登ってみるか!問題は時間だ.現在時刻は11:00.午後1:30迄に山頂に辿り着き、帰路はオオナギ沢に降りて下降する.オオナギ沢は途中まで遡っているから、沢下降には問題はない.今日は沢装備だし(←実はこれが大間違い)
 少しエネルギーを補給し、尾根の薄い踏み後を追って行くと、案の定テープが出てくる.時々尾根下をトラバースする様に踏み後が続いていて、2ヶ所ばかり迷ってしまった.一度目はテープを目印に歩いていくとカラ松の樹林が切れたと思ったら、いきなり急なガレ場に出て驚いた.左下方には林道終点が見えている.少し戻って、まっすぐ尾根に登り返すとそこには又踏み後とテープがあった.それからは、藪と踏み後が交互に出てくる尾根を外さない様に登っていく.
■写真左
笹藪の尾根


■写真右
1805m付近から北西方向を望む
12:40
 ※尾根が合流し、樹木はなく広いスキー場の様な登りになるが、此処に道の様なものが続いている.1750m辺りだったと思うが、S字にゆっくり登っているのだ.登山道なら、この程度の登りでは多分まっすぐの直登だろう.それが大きくカーブを描いている.幅も1m以上あったかな.途中で判らなくなってしまったが.  しばらくは、膝上程度だった笹藪も腰迄深くなる.それ程歩き辛いという程でもないが、踏み後があるとその下(地面)は固いので歩くのに安心だ.標高1600m辺りから樹木の立ち枯れが目立つ.例の足尾鉱害が原因か.僅かの時間で森林は破壊されたが、再生するのに一体どれ位の年月が必要なのだろうか.等と、柄にもない事を思いながら登って行く.
 尾根が合流する辺り迄登ってくると、ガスが下から沸き上がってきては消えたりする.松木川右岸が一瞬ガスに隠れ、再び現れる時、その景観に何故か戦慄の様なものを感じた.綺麗な景色とか、感動の光景とかいう感覚はなく心の身震いすら思う程である.大袈裟だろうか?
 それでも、広く見渡せるテラスの台地に佇み昼食にしたが、今日は水を氷らしてこなかったので暖かい水を飲みちょっと後悔.まだ先は長そうだし、少し休んで再び登り始める.1805mピークに着くと、鋸山、皇海山が良く見え少々ガスに隠れてはいるが展望が素晴らしいと思えた.どうして、先程の松木右岸と見方が違うのだろう.低い笹尾根に薄い踏み後を探しながらそう思った. 
■写真左
ガスが消え、浮かび上がる石塔尾根


■写真右
まだピークがあるのか・・・フゥ
1880m付近
■写真左
鞍部から日光白根山
そっちは、綺麗に晴れていた


■写真右
大平山(松木山)山頂
13:25
 ※山頂に着いて、おおーー登った着いた、、、という感情は湧いて来なかった.ああ〜良かった.これで帰れる.と感じたが、特別登りたいと思う気持ちがなかったからか.まあ、それでもピークを踏めた事については正直嬉しい.
 え?!此処は栃木百名山ではないのか?
 1805mから尾根の登りは膝程度の笹の原.踏み後(鹿道)の様なものが尾根伝いに続いているから、割と歩き易い.樹木もあまりないので、足尾側の展望が良い.気分良く登る事が出来た.ただ、上の方はガスに覆われているので大平山などは見えない.やがて南西からの尾根が合流する.左に登り少しこんもりとした1940mピークを踏んで鞍部に降りる.そこからは白根山や錫ヶ岳が晴れた空にくっきりと見えた.鞍部からの登り返しは笹が深く胸当たりまでの藪漕ぎだが、長くは続かず樹林帯になると歩き易くなった.山頂に着くと個人の山名板が3つ程あった.三角点は矮小な笹の中に埋もれる様にある.
 山頂は南方面が開けていて、遠くはガスの中だが笹の斜面が山頂からずーーっと下りていて美しい.
■写真左
山頂南側(足尾方面)


■写真右
中間尾根から松木川を望む
14:30
■写真左
向こうの樹林帯からトラバース


■写真右
下降が辛かった笹尾尾根
※オオナギ沢の本流水を飲みたくない訳
 沢の上流域で鹿の死骸が沢にあり、それが記憶にあってちょっとな〜、、、なのである.しかし、この沢の左岸(何故か左岸が多い)には、湧き水を落としている場所が多くあり、そのいずれもが冷たく美味しいから、問題はないのだが・・・・


※太もものケイレンに夜眠っている時突然襲われ、何だか散々な一日だった・・・・
■写真右
オオナギ沢 1120m付近
15:50






オオナギ沢への下降(取り付き)途中から
良い、眺めですね〜
 1805mピーク迄は大きなルートミスもなく下ってきたが、問題がなかった訳ではない.足元は沢靴のまま.膝程度の笹原を踏み後を追いながら下降して行くのだが、これが難儀した.とにかく滑るのである.何度転んだ事か.前のめりではないことと、笹のクッションがあったので大事にはいたらないが、横向きになって慎重に降りたりするので時間がかかった.快適な笹原の下りの筈が、実にまどろっこしかった.ズルッ、、、ほら、又転んだ(笑)
 1750mからは、オオナギ沢右岸尾根に向かって降りていくのだが、地図で見るのと現場では大違い.だだっぴろくてさっぱり判らない.眼鏡がないからGPSも良く見えない.目を細くして何とか検討をつけ、しばらく下降をしたがやはり見事に間違えてしまった.オオナギ沢右岸尾根と登って来た尾根(東南)の中間に入ってしまい、急なガレ場に出た.左の急な樹林帯を少し下降したら、鹿道がガレ場を横断していた.ラッキーとばかりに、右岸尾根に移動できたがそこには又笹原滑り地獄が待っていた.
 腿に負担が多くかかるのか、1400m辺りまで降りて来た辺りから腿が時々ケイレンして困った.何とか騙し々々下降を続け、1200m付近で沢に下りた.堰堤のある所で尾根から沢に下りようと思っていたが、水が無くなってしまい喉の渇きを覚えたからである.オオナギ沢本流の水はあまり飲みたくないが、左岸から湧き水が出てる場所が幾つかある事が判っている.

2012/07/14再編集