◇滝見◇
日光市
三沢
のちょっと上流

                    



2011年8月13-15日 訪問

単独
(時間は参考にしない事)
PART 2(8/14)
PART 1(8/13)はこちら

                           
昨年、三沢大滝の下流二俣から右岸尾根を登って大滝の上に降り立つ事が出来たが、尾根の急登と藪の激しさで(爺では)結構時間がかかってしまった.今回も尾根分岐までは予定通りの時間内だったが、やはり沢下降ルートが厳しく何度も崖や涸れ棚で戻ったり高巻きをしたりで時間を喰ってしまった.ただ、この下降ルートは急斜面だが、広く迷いやすい場所ではなく一度通れば概ね記憶に残るので、次はもう少し早く来る事が出来るかも知れない(その時まだ体力があればの話だが(笑)).


 さて、14日朝になった.5時頃迄寝袋の中でモゾモゾし、起きて冷たい水で顔を洗った.下界は熱いだろうが、シャツ一枚では少し肌寒い.薄いジャケットを羽織って、朝飯代わりの食パンをかじり水で流し込む.(コンビニで買った)パック詰めの卵焼きがおかずだが、、、


 5時半ではまだ渓に陽の光が差し込まない.撮影に光量不足と思われるので、(三沢大滝)落ち口を覗いて見る事にした.とは言っても落ち口の上に立てる訳ではなく、右は手前からの落ち口撮影.左は灌木帯で身体を支え手を伸ばしてカシャ.右と左の中間に立つと木々の間から僅かに下が見える(←三沢を徒渉し小広い河原) 勿論この時間で人がいるはずがない.
戻って、ザックに三脚、カメラ、ザイル、クッキーだけを入れて右俣に向かった.
■写真左
右大滝の落ち口
(カーソルで左大滝落ち口)

6:15


■写真右
下3m、上15mタキ
■写真左
高巻き途中からの15m滝


■写真右
15m滝上の沢の様子
 前回訪れた時の右俣は3m滝手前までだったので、今日はその15m滝上に行けるかどうか歩いて見る事にした.3m滝は右を登り15m滝前に立つと、数値以上に高さがある様に見えた.滝前は広いので余裕を持って撮影出来る.右又は左の斜面がどちらでも高巻き出来そうであったが、鹿道は右(左岸)からしか下りてない.此処は右の斜面に取り付いた.10mも登ると壁に突き当たるが壁にそって回り込んで行くと、岩が切れている場所がある.多少の足掛かりがあり掴まる事の出来る木もあるので、よじ登っていく.下りた所は滝の頭すぐ上.ちょっと穏やかになって小滝が続く.
 右のかなり上からシャワーが降り注ぎ、陽光にキラキラ輝いている.右から滑滝、その上に数段の涸れ棚を通り過ぎると流木の3m滑滝、3m2条滝が出てきた.右を越えていくと、流木が積み重なっているゴルジュだ.ここが大ゴルジュ帯の入り口だろうか.高い両岸が垂直に狭まってきて正面の3+4m滝は流木で隠されている.この2段滝は越えられそうだったが、その先はどうにもならないらしいのと時間が遅くると困るので此処で引き返す.
■写真左
3+3m2条
7:15


■写真右
大ゴルジュ帯入り口
7:35
■写真左
左俣(本流)5m+20m滝


■写真右
左大滝すぐ上10m滝の頭
9:30
 テン場に戻りこの上流にある20m滝は前回と違って朝早いから太陽が真上にない.前回の撮影は太陽で困難を極めた.ま、腕が腕なんだから出来が悪いのは仕方がないにしても、多少の努力はしてみないとな(笑) 滝下左テラスの上に行くには少しだけガレ場を横断する様に登るが、新しく崩れたと思われる大小の岩が多くあった.
 テン場を撤収し、この滝の上流に行くには(爺では)大きく高巻かねばならない.最も昨日下りてきたルートを通れば良いのだから、それ程時間はかからないとみた.が、この辺りの急斜面、下りるのと登るのとでは大違い.ズルズル滑ったり倒木を乗り越えたり結構大変だった.又、CS滝などを撮影していたりしたら予定より時間が経っていた.当初の計画では10:30には此処を発つ事にしていたが、既に1時間オーバー(笑).尾根分岐迄の登りも結構時間がかかるに違いない.流木のある涸沢二俣迄登り下りた時1時間経過していた.
■写真左
(左)5m滝


■写真右
倒木が煩い林内
■写真左
20m滝の高巻きはきつい登り


■写真右
上唐沢の湧き水は1460m付近にあり、この下流100m程で水は沢中に消える
16:35

 此処で困った事が起きてしまった.食料(といっても、パンおにぎり)が喉を通らないのだ.疲れすぎたのか、水で運んでも「オエッ」となってしまう.仕方がないのでクッキー(レーズン)を口に含んでゆっくり飲み込む.辛い登りは尾根分岐迄の(標高差)約100m.しかし足が上がらない.又、パンをかじってみるが駄目だった.飴を口に含み水を飲み分岐に登り着いたのは午後2時近かった.
 計画では、尾根分岐から稜線に登り登山道出るとしていたが、この状態で(標高差)250mを登る事はかなり困難にみえた.稜線直下の急斜面も厳しいだろう.此処はほぼ下りで重力任せの歩きがベターだな、上唐沢は歩いた事があるし途中の水場も判っている.牧場柵には暗くなる前に着けるだろう・・・と、判断.少し休んで下り始める.さすがに登りとは段違い、身体の疲れも少しとれたが相変わらずパンとかは喉を通らない.お腹は空いてる気分だが、なにしろ喰う気になれないのだ.シャリバテか? 等と思いながら「そーだ、倅達には帰りのルートを登山道」と言ってたのだった・・・が、まあ今日中に帰るのだからいいか、と、脳天気.
 良くない事は続けて起きるもので、尾根から上唐沢に下りる場所を確かめようとGPSを見たら、何と!地図が表示されない.一瞬困ったと思ったが、上唐沢に下りるのはそう大変じゃないのと、牧場柵までは二度歩いているので、これも、まあいいか!と、やはり脳天気.水場で頭から水を被り、思いっきり冷たい水を飲んだ.疲れている割に上唐沢の下降はルートも時間もそれなりに順調だった.が、3度目の良くない事が起きた(涙)
■写真左
ビバークした所.沢から少し高く平地
15日5:30


■写真右
(摂理状)涸れ滝の頭
15日6:45
 順調に下りていき、尾根に向かって緩く登る場所に取り付き、涸沢を横断し開かれた広い場所(特徴的な場所なのですぐ判る)に着いて、倒木に腰掛け休む.GPSに相変わらず地図は出ない(但し、本体内蔵のbasemap、緯度経度は表示される).ま、此処までくれば大丈夫とばかりに柵目指して樹林内に入って行く.一旦、小さな沢を渡り少し登って判らなくなってしまった.鹿道が十字路を造っていたのだ.こんな所通った記憶がない.
 ちょっと考えて、左だと逆方向(又上唐沢に下りてしまう).右は尾根を登って行くから違う.これは真ん中だッ と、結論.直進していった.辺りがやや薄暗くなってきたが、踏み跡がハッキリしているので歩き易い.それを良い事にどんどん下っていった.思考力ゼロの脳天気爺はまだ気が付かない.下りたらダメ、登らなければならなかったと言う事を・・・.実際細尾根を緩く降りている途中でこれは間違ったな、と頭をよぎったが登山道並みの踏み跡は疲れ切った身体に考える余地を与えない.左から沢音が聞こえた時、一体どの辺りにいるのだろう?と不安になった.尾根から沢に下りて二つ目のゴルジュっぽい場所に出た時は真っ暗になってしまった.ダメ元で携帯を取り出し、電源を入れると何とアンテナが3本も立っているではないか.電話の向こうに次男の声が聞こえた時はほっとした.
 「おーーい、あたしゃ何処にいるんだろ?」
■写真左
柵に出た〜
15日7:10


■写真右
上唐沢の二段堰堤
15日7:50
 ※【1番目の不幸】ビバークした地点は、1252ピークの北、上唐沢右岸だった.何と、小ゴルジュを巻くのに1252mピークの30m下を通過していたのだ.この支尾根をピークに上がれば簡単に柵に出ていたのだが・・・(笑)


 ※
【2番目の不幸】霧降道路が一番近づいている所だった.出た柵から牧場に入り、場内道路を通れば1kmちょっとで霧降道路に出る事が出来たのだが、倅達は爺が出た柵はもっと南西(標高1350m付近)にいるとおもっていたらしい.地図のない悲しさ、このあと炎天下を(ヘロヘロ)3時間近く歩く事になる(爆).



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 通せんぼしている様な右俣大ゴルジュ帯入り口
 流木をくぐり下流に向かって撮影
 高度、緯度と経度を連絡し現在位置を特定してもらったら、(緯度、経度だと)どうも上唐沢の1200m付近らしいが、高度が1350mと出ているのではっきりしない.どちらかに誤差があるらしいのは判ったが、感覚的に高度1350mはとっくに過ぎている筈.すると、持っている地形図(日光北部)ギリギリ上部付近の様な気がする.しかし、もう暗くなってしまったので行動は控え今夜は此処でビバークする旨を連絡し、横になれる場所を探した.
 夜7時半頃から稲光がし雨が降ってきて、樹林の枝葉を擦り抜けた雨粒がツエルトを叩く.雨の音でよく眠れる脳天気爺は、疲れもあって結構眠る事が出来た.そのお陰か、体力はやや回復したようだが、相変わらず食事は摂れない.食パン一切れを無理に口の中に押し込んだだけ.これが、一番辛かった(笑)
 朝、雨は止んでいて午前6時頃から歩き始め、30分程してから携帯が鳴った.倅達が予定の道に出てくる辺りでもう待っているという.【昨夜のやりとり 尾根を二つと沢形を二つばかり超えると牧場の柵に出る.下唐沢に下りて、徒渉し堰堤を過ぎれば林道があるのでそこの入り口で待っている】←1350m付近の上唐沢にいると思っていたらしい【←1番目の不幸→】こちらはこちらで地形図から外れている所にいると思っているのだから、指示通りに尾根を二つ越える.沢形は二つあり二つ目の沢には水が流れている.徒渉し二つ目の尾根を越えたら涸れ沢があった.下りられそうな所を探し尾根を下っていくと摂理岩盤の涸棚に行き当たるが上手い具合にその上部で沢に下りられ、楽に横断できた.涸れ棚(15m位)の下流には水のある沢が合流していたのが見えた.
 尾根二つと言われたが・・・三つ目の尾根に向かって登って行くと、突然目の前が開け牧場の柵が現れた.柵に近づくと広大な牧場が広がっている.(倅達に)柵に出たから沢の堰堤に向かう、、と簡単に連絡を取った.【この時点で倅達は爺が1350m付近の柵に出て下唐沢に向かうと思っていた様だ】.柵を北上し
【←2番目の不幸】斜面に出て仕事道と思われるやや広い踏み跡を下りると「あった!堰堤だ」・・・だが、沢の水量は多い.林道も対岸に見える(←3番目の不幸) 沢に下りて頭から水を被りジャブジャブ徒渉して林道に上がった.しかし、200m位歩いた所で、前方にゲート(柵)があった.
 
道は柵の中に続いていて、舗装されている.柵の回りは藪でそう言う所を歩く元気もなく、牧場の中へ入らせてもらい舗装道路を歩いた.誰かいたら場所を聞き倅達に連絡出来る事を期待したが、誰も合う事はなく再び牧場のゲートがあり道は北方向に続いている.少し歩いて行くと下から軽トラックが一台上がってきた.運転しているおじいさんにこの道は何処へ通じてるのですか?と聞くと、集落があって栗山の県道に出ると言っていた.場所が大体掴め、それから少し話をしてお礼を言い、倅達に連絡して無事拾ってもらったが、出た所は開運橋から上栗山牧場に繋がる道路のゲートだった.