◇滝見◇
日光市
三沢
のちょっと上流

                    



2011年8月13-15日 訪問

単独
(時間は参考にしない事)
PART 1(8/13)

                           
(霧降道路の)六方沢大橋を過ぎると左にパーキングがある.バイクツーリングのグループがいて早朝にもかかわらず中々賑やかだ.時々走り去るバイクの轟音を聞きながら、朝飯代わりのカップうどんをすする.山(滝)へ行く時の定番になってしまったが、美味しい.最近食べるのは「カップきつね」.天ぷらうどんが前にあった様な気がしたが、何故か今は売ってない.たまにはそっちも食べたいと思いながら、お揚げを不注意にがぶっと・・・あッつつつ.


 今日は此処(霧降)から三沢(大滝)の上流を狙ってみる事にした.あの険しさから考え、どうせ大した見学も出来まい、、、と、思ってはいるが、その一端でも見、感じる事が出来れば良しと思うのである.以前、此処を起点に大滝まで行った事がある.下唐沢と上唐沢の間は深い笹藪だった.今回もそれは覚悟の上.ただ、沢の上流を目指すとすれば前回と同じルートとはいかない.駐車場から尾根を1761mに辿り、下唐沢の上部を横断.1811ピーク西鞍部を乗越て上唐沢へ下りる.上唐沢左岸尾根伝いに、1920mの尾根分岐まで登り三沢本流の右岸尾根を下って適当な所で沢に下りる、と言う計画.


 駐車場脇の法面補強が切れている所から取り付き、少し登ると尾根だ.笹は膝上程度で歩くのに問題はないが、朝露か昨夜の雨(?)かたちまちビッショリになってしまう.又、今年の猛暑は高原の朝早い空気も結構暖かい.緩い尾根だがたちまち汗だくになってしまう.
■写真左
六方沢大橋を過ぎたP
7:30


■写真右
1622ピーク手前の緩い登り
笹原は腰位

■写真左
1761ピーク
8:45


■写真右
登山道に見えるが鹿道

 1622mピークから笹は時々胸程の高さになるが、概ねは腰高で所々に鹿道か踏み後があるので登りやすい.ダケカンバの疎林やツツジの細尾根を通り、樹林帯の少し急な斜面を登ると1761mピークに着く.そこは笹が膝位の高さで、気持ちの良い場所だった.風がないのでひなたは熱い.木陰に入り倒木に腰を下ろして水を飲む.フルーツ飴を口に入れ下唐沢上流に向かい、北西寄りにトラバースを開始する.コメツガの樹林の中で藪も少なくそれ程急斜面ではないが倒木が多く乗り越えたり回り込んだりで苦労する.
 二つ目の大きな涸れ沢が
下唐沢(本流)の様で水の気配は全くない.少し休憩し、対岸斜面に取り付く.ガレ場と草付きの境目にシモツケソウに似たピンクの花が咲いていた.今日初めて花を見た様な気がする.斜面は胸程の笹藪だが(クマイザサ?)抵抗感はさほどでなく両手でササを掴み、グングン登って行けるから意外に楽.30分程で、1811ピークの西鞍部に登り着く.

■写真左
下唐沢1700m付近で分岐する左涸沢横断.下に下唐沢本流が見える



■写真右
下唐沢最上流部は薙とガレ
9:35
■写真左
1811m西鞍部目指して笹藪登り
丈は胸程



■写真右
1811m西鞍部到着
10:20
 上唐沢に向かいトラバース中の樹林はコメツガ(?)か同種類の木だが太い物は少なく、二次林の様.涸れ沢に出るが急崖なので小尾根をそのまま下降し鹿道を利用して涸沢に下りた.上唐沢上流1730m辺りの三俣左沢で苔が生えた岩が多く水はないがやや湿っぽい沢だった.この辺りから小さな虫がまとわりつき少々煩い.その沢の左岸にはコメツガ幼木がビッシリと生えていて通過が難儀しそうなので沢を少し下り、ザレの斜面を登って小尾根を回り込み中の沢に下りる.そこから北西寄りに行くと上唐沢本流(水はない)で見覚えのある場所に着いた.ゴーロ沢を横断し、樹林の中は膝下の笹で歩き易い.1750m付近まで歩き左岸斜面に取り付く.
■写真左
ザレ斜面


■写真右
上唐沢左岸1700付近
11:30

■写真左
上唐沢左岸尾根上から左に1811ピーク.薙は下唐沢上流部


■写真右
尾根から望む上っ原.
12:10

 尾根(1810m付近)に登り着くと鹿道とは思えないしっかりした踏み後があった.そう言えばこの尾根の上唐沢左岸で広い所には南西に延びる踏み後があった.そこから続いているのだろうか?だとすれば、今回のルートより下唐沢堰堤群から牧場脇を擦り抜け、上唐沢左岸を登って来た方が楽な様な気がする.等と思いながら、1900mの尾根分岐を目指す.コメツガやダケカンバ、ツツジなどに覆われほぼ展望のない尾根だが木々の間から上っ原が見える所があり、そこではゆっくり昼食と休憩出来た.
 分岐直下でシャクナゲとコメツガ幼木、岩で行く手を阻まれるが踏み後は左に回り込んでいた.分岐に登り着くとそこは4−5m程の広場になっており周囲は背の低いシャクナゲにかこまれている.うん、これは判りやすい.いずれヤハズから下りてくる時は此処を通過するから、目に焼き付けておく.思えば、昨年登山道(ヤハズ)から下りて此処に着くはずだったが、トラバースを早く打ち切った為上唐沢に下りてしまい、三沢上流を諦めてしまったのだった.そんなこんなを思い浮かべ、三沢左俣へ向かってシャクナゲ斜面を北西気味に下降していく.シャクナゲ藪がかなり濃いが鹿道と思われる道をトレースしていくと楽に下降出来た.しかし尾根上は藪が密になり西側に逃げる様下りて行くとシャクナゲが薄くなり小さな沢形が左に現れた.
■写真左
右の岩の上が、尾根分岐


■写真右
尾根分岐付近のシャクナゲ.此処ではまだ薄い
12:40
■写真左
涸れ沢の二俣.雨水の様なものは溜まっていた.


■写真右
沢が見えた(三沢左俣-本流)
15:00
 計画では真北に続く尾根を、前回三沢から登ってきてトラバース開始した地点まで下降する事にしていたが、何となく斜面が緩そうなのと沢音が(僅かだが)聞こえてくるので、小さな沢形を下りて行った.50mも下りると涸れ沢に合流し、その上流を見上げると二俣になっていた.左も右も涸れ棚を懸けている様である.下流は両岸が狭くなりやはり(爺には)下降不能な涸れ棚になっている.左岸小尾根に登ると沢音がより大きく聞こえ、喜んで尾根を降りていくがすぐ崖になって行き詰まる.此処は二俣になっている1750mの少し上、右岸尾根上と判った.(GPSでもそれと確認出来た) 
 下りる事は出来ないので、一旦戻り先程の小さな沢形を登り返して尾根に復帰するが、このアルバイトは少々きつかった.再び下降を始めると斜面は更に急になってくるが、沢音もどんどん近づいてくる.幾つか涸れ棚の上の厳しいトラバースがあったが、沢に下りられる場所に着いた時は嬉しかった.(この時点では前回来た大滝上だと思っていた) しかし上から見た沢の様子が何となく違う.左上流に見える筈の20+5m滝が見えない.違う方向にいるのかなと思いながら沢に下りると、綺麗な滑があるだけだった.荷物を下ろし、一旦上流へ歩いていくと、沢が左に曲がった所で岩の中に10m程の2状滝がある.右を小さく巻いて上に出るとゴルジュ入り口で、暗い中に小滝をかけていた.戻って下流を見ると、少し落差のある滝の頭だ.どうやら、目的の場所より上流に下りてしまった様である.
■写真左
滑上の小滝


■写真右
20+5m滝の頭
■写真左
上流に滝が見えた


■写真右
CS2段10m+3m
CSは滝の上に引っ掛かっている丸い大きな岩.中央細長いのはどうやら水が削ったものらしい

15:45
 (三沢)大滝上にテン場の好適地は確認しているが、此処(その上流)は初めてなのでテン場に出来る場所があるかどうか探してみる.沢のすぐ脇には滑で平らな所があるが、増水したら怖い.少し小高い所は上が崖で落石が心配だ.左岸の樹林帯は平らな場所が見つからない.此処はやはり大滝上まで下降しようと決めた.此処の撮影は明日と決めザックを背負い右岸樹林帯に登り入って行く.すぐにガレ場があり細かい座礫が足元をすくう.滑落すると滝下にダイビングしてしまうので、樹林帯の脇を登り水流の刻まれた跡を注意深くトラバースしていくが結構緊張する(もう少し登って灌木帯をトラバースした方が良かったかも知れない.
 急斜面を下降し、鹿道を辿って小尾根を降りると見覚えのある大滝上の沢に出た.左を見ると20+5m滝がしっかり落ちていた.前回無かった倒木が沢を半分塞いでいた.テン場には影響ないので荷を降ろして高巻きで疲れた身体をゆっくり休ませた.
■写真左
暗いゴルジュ入り口


■写真右
トラバースが緊張したガレ場
■写真左
前もって確かめておいたテン場に着き安堵

 焚き火をしようと燃えそうな枯れ木を探したが手頃なのは殆ど湿っていて駄目.少し頑張ってみたがうまくいかない.ガスとストーブは荷を軽くする為置いてきた.まあ、仕方がないので食パンと梅粥(袋入)で晩ご飯とした.梅粥は温めるとあるが、そのままでも結構いける.缶コーヒー(贅沢微糖)は冷やして飲んだら美味しかった.大滝の頭を見たり、20m滝を見たりしていたら時間があっという間に過ぎ、薄暗くなってきた.ツエルトの中に入り寝袋にもぐり込み頭を外に出して空を見ながらいつの間にか眠りにおちていた.


 良く眠ったもんだ、午前2時頃目を覚ました時空が明るい.沢上流方向(南西)に月が出ていた.降る様な星を期待したが、月の明かりに邪魔されてか僅かにまたたく2−3個が見えただけだった.