◇滝見◇
日光市(足尾)
ニゴリ沢大滝



                    



2006年8月5日 訪問


(時間は参考にしない事)
                           
  テントを這いだし空を見上げると雲一つ無い天気だ.今日も熱くなるだろう.朝食は麦がゆに鮭缶を混ぜたもの.ソーセージと梅干しだ.ガスボンベとバーナーも持ってきたが、上手く焚き火が出来た為使わなくても済んだ.食事を終え、置いてあった枯れ木を使ったので、その補充にと近くで枯れ木を集めていたら、釣屋さんが一人三沢に入って行った.通り過ぎる時に簡単に挨拶を交わしたが、この時間(午前6時頃)にこの場所に人がいるなんて思わなかったんだろう、少しビックリしてた様だった.


 支度を終え、今日の目的であるニゴリ沢へと出発する.思えば計画して2年ぐらい経つので、何だかワクワクする.初めての修学旅行を前にする前夜の小学生の気分に似ている.空気が清々しい松木川を歩き始めた.驚くのは、赤とんぼ(ミヤマアカネ?)が凄まじく多い.平らな石の表面には4−5匹必ず止まっている.爺が歩く度にそれが舞い上がり、朝日に輝いている光景は何とも言えない.やがて、皇海山の見える場所に着いた.
 

(※前日三沢出合にテン泊していたのでした)

■写真左
晴天の朝、泊地より松木右岸を望む
6:15


■写真右
皇海山遠望

■写真左
左岸に落ちる滝


■写真右
大きな岩を巻くように流れる

  左の尾根上に面白い岩峰(台形)を見ながら、上流へと行くと左岸に水の少ない滝を懸ける沢を通り過ぎると、右に(見えるところで)5−6mの細い滝が落ちていた.近づいてみたら、その左側に幅広く落ちている部分があり、全体では2条に落ちる滝であった.今日初めての撮影をしたが、陽の光が滝を半分にしあまり良くなかった.先へ進むと右から小沢が注ぎ込み出合いに小さな滝を落としている.「オオナラギ沢」というらしい.左のガレ場を過ぎると大きな
岩が沢を塞いでいて、水は両側を巻いて流れていた.「カマノ沢」の小気味よい出合い滝を右に見ながら、上流へと進む.
 やがて、大きな淵のある場所に出た.かなり深い.両側は切り立った岩で通過出来そうにない.朝早いとはいえもうかなり熱い.此処で泳いだら気持ちが良いだろう・・等と欲求と戦いながら、右の顕著な踏み後を辿って巻く.その後も大きな滝はないが広く深い淵や(白い)ヨウカンを縦に並べた様な岩が出てきて、それなりに面白い.渓谷散策気分を楽しみながら間もなく、ニゴリ沢に着く.

■写真左
泳げないと通れない淵

■写真右
すぐ上流にある2条滝

■写真左
ニゴリ沢出合
手前右から流入がニゴリ沢
向こうに見える台地が良いテン場

■写真右
ニゴリ沢から振り返り見る、標高1,300m付近から

■写真左
小滝です


■写真右
小滝です
  ニゴリ沢は本流に比べて3分の1位の水量か、かなり少ない.しかし、沢の幅がこの深山にあってびっくりする程広い.雲一つない真夏の太陽はジリジリと照りつけてくる.なるべく木の陰を選んで歩いた.沢の水は此処では濁っている感はないが、時々白っぽい岩が見られる.右岸に湧き水が落ちている所で喉を充分に潤し、暖かくなってしまったペットボトルの水を捨て、この冷たい水を入れた.何かの成分が溶け出しているらしいので、この沢の水を飲む事は控えなければならない.この先の歩く長さを考えると、やや心配になってくる(が、それは何の心配もいらなかったのだが・・).
 広く明るい沢を行くと右に大きなガレ沢を過ぎて、右の樹林帯の中に赤と黄色のツートンカラーのプレートが木に打ち付けられてあった.沢筋に一枚、林内に一枚.国境平への取り付きを示すものらしい.此処を通り、モミジ尾根から国境平を回り皇海山へ登る人達は、一体どういうスタミナの持ち主なんだろうか.モミジ尾根は、その名の通りカエデが多くあり紅葉が素晴らしいと聞く.いつか、見に来られる時がくるだろうか?等と思いながらそこを通り過ぎると、白い岩肌の滑滝を見る.左に豊富な手掛かり足掛かりがあるので、難なく越えていく.その後も、小滝が続き沢は徐々に狭くなっていく.

■写真左
小滝です


■写真右
4−5m程の滑滝
■写真左
3段15m滝


■写真右
上段部分

■写真左
白い肌が顕著になってきた滑滝


■写真右
 同 これは2mもない
 滝壺の水は白濁して太陽に輝いている.顔を洗う位いいだろう.冷たくて気持ちが良い.更に小滝を二つ越えると右岸にガレ沢が合流している.沢は右に曲がり傾斜を増していくと、正面にガレ場が見え脇に滝があった.近づいてみると、ゴルジュの中の3段の滝だった.上段は溝を切る様に激しく落ちていて中段にCSを抱え、下段は飛沫が玉を形造って跳ねている.見ていて飽きない滝だった.右のバンドを通過し登って滝上に出る.(帰路は上を通りガレ場出て下りたが、ザクザクした岩がいつ落ちてくるかとドキドキしながら下降した)


 此処までくると岩肌の白さがハッキリしてくる.まさしくニゴリ沢だ.滑岩が真っ白で、ちょっと見るとまるで牛乳でも流れているかの様な錯覚を起こしてしまいそう.この様な光景が少し続き右岸に小滝などを見ながら、上流へ行く.青空に映える4m位の滝が」あり、それをデジカメで撮ったら滝の上で鹿が逃げていった.その後も小滝や滑滝が続き、さほどの困難はなく遡って行くと二俣になった.左俣の方が水量が多い様だが、此処は右俣が本流なので右へ行く.
 此処まで来ると岩の白さはなくなり、そういう何かの成分を含んだ岩は無くなったのか.赤い縞模様の岩が多くあった.水は急激に少なくなり、まるで田んぼの用水路並になってきた.谷はさらに狭まり、ゴルジュ帯になってくる.岩溝の中の数段に落ちる細い滝を越えていくと、又、二俣に出たが左は殆ど水がない.その代わりに、水の流れた後が白く変色している.

■写真左
鹿がいた4m滝


■写真右
岩溝の中の連瀑

■写真左
2段7m


■写真右
大滝
(見える部分)
4m程の滑滝+5mハング+5mハング+30m2段階段状(?)+25mトイ状下部ハング
と言ったところか(資料参考+爺の不正確な目測)
水が少ないので迫力という点ではやや劣る.しかし、優美の中に荘厳という文字がピッタリで、写真を撮るのも忘れて見入ってしまった.


 テントを撤収し帰路についたのは午後5時半過ぎ.オオナギ沢出合付近で暗くなってしまった.林道はハッキリしているので、懐中電灯がなくても普通に歩けるが、今日はかなり歩いたので身体がきつい.銅公園に着いた時は安堵感もあって疲れも最高潮だった.初めての一人渓泊二日間だったが、今後のリハーサルとして大いに重要な経験(食料しかり、缶ビールは二本あった方が良いとか・・)になった.
 松木&足尾周辺へはこれからも渓泊をして、遠く奥深いところを(爺で可能な限り)見て歩きたいと改めて感じた.