滝見

日光市(奥鬼怒野門)
上から下りてみたけど
三沢(7回目)



                  



2010,7,18 訪問


(殆ど参考になりません)
              
 この連休は二日間共天候が安定している旨の予報.かねてから想っていた(上栗山)三沢上流の探索計画を実行する事にした.三沢は二つの滝(沢)が一つの滝壺に50m以上の高さから落下している大滝がある沢で、その滝までは時間がかかる事を除けばそれ程の難所はない.最近はネットでも多く見られる様になり、その存在が知れ渡って来ている様だ.しかし、この沢の凄さは、実はこの大滝が始まりなのである.


 全てを見るのは爺にはまるで無理な話のだが、昨年その一端でも拝みに行こうと沢泊りで出掛け、大滝の上迄登る事が出来、綺麗な滝も(右、左それぞれ1個)確認してきた.しかし、これも沢の入り口のドアから少し入ったにすぎない.きつい尾根登りや危ういトラバースの連続で時間が掛かりすぎる(←爺の場合)

 そこで、今回は女峰山の登山道から下降して三沢上流に下りてみようと目論んだ.地形図でみて、下りられそうな所は僅かしかない.2209Pから北に派生する枝尾根から上唐沢左岸尾根を少し下降、1900mの尾根分岐を三沢側(左俣)へルートをとり、1800m辺りで地形偵察し、あわよくば左俣少し上流を見て来よう・・・という、行って見なければ判らない山行だ.

 ただ、その険しさは地形図より一目瞭然.爺が下りられる所なんてあるんだろうか? 不安ばかり.



高原山



霧降駐車場 5:50


元スキー場脇の登山道
 肩に食い込むザックを背負い、霧降高原を歩き出したがこの先の登りを考えると既に足が重い.急がずゆっくり登る事にする.

 キスゲ平に着くと、10人位のハイカーがくつろいでいた.その中の5−6人構成のおっさんグループは登って行く様子がない.もう、登り終え帰って来たのだろうか.天気も良く此処まで登ってきて汗だく.今年の夏の暑さは尋常じゃない.下の方は雲海.

 樹林帯に入る手前の笹藪にザックをおろし腰をかけて休んでいると、3人組が追いついて登ってきた.が、樹林内に入ると最後尾の1人が「休みだ、休みッ」と言って、3人は道の脇にザックをおろし休憩して、何か食べている.爺は二言三言話し、脇を通って上に行く.中々面白そうなグループの様な気がした.



キスゲ平の向こうは雲海




ゆっくり眺めていたい位だ.左のピークは丸山



笹帯を登り


樹林の中に入って行く
 赤薙山への登りを終え、今回は巻道を通って頂上へ辿り着く.此処で再び休憩し水を飲んでカレーパンをかじった.頂上には先客がいて「女峰山から?」と聞かれた.いいえ、霧降からですと答え大きなザックの荷物が不思議だったのか、「どちらへ行くの?」と聞いてきたのはご婦人.説明しても判らないだろうから、女峰山の下です、と答えたら、やはりよく判らない風であった(笑)

 その内、あの3人組が登ってきて休憩をとり、いろいろ話をした.3人組はいつもこのグループで山登りをしているらしい事、山で1人泊まるのはおっかなくないか等.今度、どっかへ行くと言っていた(鋸山だったかな?)が、忘れてしまった.



木の根が多く道が何筋にも


赤薙山山頂 8:45



赤薙山から向こうが雲竜渓谷



オノエラン?


白っぽいシャクナゲ
 赤薙〜奥社(2203P)の道で今日は、雲竜渓谷が割と良く見えた.此処から見る雲竜は緑多くあの激しい険しさは感じられない(部分的に薙は見えるが・・).此処から下りられそうな気がするが、多分途中で殆ど崖になり、行き詰まってしまうのだろう.見てみたい滝が幾つかあるが、爺には無理かも知れない.

 奥社からヤハズ(一里ヶ曽根の間)までの道を、下降点にするべく適当な場所を探しながらゆっくり歩く.ヤハズの北面は樹木はあるが崖と呼ばれる急斜面.とても降りていく勇気はない.もう少し女峰寄りに向かい2240m辺りから北東に延びる尾根(三沢左、右俣の中間尾根)を検討に入れたが、やはり、等高線が密で左俣右岸に回れるかどうか判らない.

 左俣右岸尾根なら、沢に下りる事は出来なくても1650m付近の二俣(三沢大滝のすぐ上)なら前回来ているので、地形は僅かながら覚えている.幕営に適当な場所もみつけておいた.此処は、2209mピーク付近から下降する事に決めた.



奥社跡


(ヤハズ手前)この辺りから
 登山道からシャクナゲを掻き分けて2209mピークに出ると、踏み後とも鹿道ともつかぬ道が北東に向かって降りていた.藪漕ぎを覚悟していたのでラッキーとばかりにそれを辿って行くと“道”は東の尾根に向きを変えてしまった.樹林の中の藪のない急な尾根を北に向かって降りていくと次第に勾配がさらにきつくなってくる.2070m付近で(地図にある)崖下に出たと判断し西向きに(トラバース気味に)歩いていく.
 
 コメツガ(?)等の針葉樹林が切れ、ダケカンバの低木が密生する中にザクザクした岩が現れ、涸れ沢に飛び出した.乾いて暖かい平らな岩に腰掛け、水を口に含み遠くに見える山を眺めた.(地図で見て)大笹山だろうか.汗を拭き、爽やかな風にホッとする.

 後ろを振り向くと急な涸れ沢の上には緑の崖が見える.トラバースして、コメツガ?の樹林内に入ると沢形があり、斜面に赤い小さな花があちこちに咲いていた.何だろうと近づいて見ると、イワカガミだった.蕾もあるので、今が咲頃なんだろう.再びトラバースしていくとすぐにコメツガ低木藪がうるさい.強引に突破していくと今度は降りられそうもない涸れ沢の急斜面に出た.


コメツガの中を下降して行く


初めのうちは緩やかだけど



次第に急斜面になっていく



急な涸れ沢に出た


←から、見上げて上唐沢の源頭付近
 一旦、登り返す様に戻り藪の少ない部分を選んで下降していくと、又崖に出た.此処は掴まる事の出来る木もあり足掛かりも豊富なので、楽に降りる事が出来た.丁度7−8m程の涸棚の下で、水が僅かに滴り落ちている.涸れ沢を横断し小尾根を回り込むと、又涸れ沢に出て上部に涸棚を持つ落差のある滑滝(30−40m程)があった.

 こちらも水が僅かに流れている.GPSで位置を確認しようとしたが電波状態が悪いのかうまく受信出来ない.樹林の中なので見通しも利かない.この二つの涸れ沢は地図では表されない程度のものかも知れない.目的の三沢左俣からは少し離れるが、右寄りに進路を変えて樹林帯を出る.
 
 見える正面の山はガスがかかり、手前に急峻な沢が(多分)2つ見えた.今いる所は、上唐沢の右俣左岸上部という辺りだろうか.ガスが晴れるかも知れないと、密なシャクナゲの上に座り休憩してエネルギーを補給した.今日は幕営(ツエルトだけど)の用意をしてきたので、水は多く持ってきていない.三沢に降りればいくらでも水は手に入る(筈だった).



7−8m涸れ棚




水が滴る滑滝 30−40m

 再び樹林に戻り、トラバースを開始する.さらにもう一つ涸れ沢を横断して小尾根を回ると正面に岩の急斜面が出てきた.その下は開けた涸れ沢になっている.登って崖上を巻くかと思ったが、木が多くある斜面は降りる事が出来そうだった.ザイルを出して、降りたが回収する時に何かに引っ掛かってザイルが引けない.ザックを下ろし、登って見たらザイルが木と岩にきっちりはまりこんで動かない状態でいた.ザイルを回収し、今度は空身なので軽快に降りる事が出来た.
 この涸れ沢を横断してトラバースする様に登ると、やや広いツガの樹林帯に入る.(ここで過ち!)上唐沢右俣の左岸尾根に上がったと思った.此処から広い尾根を下り、尾根分岐を右に降りない様、左寄りに下降していけば自然に三沢左俣の右岸尾根に行ける・・・と、半ば安心.藪でもないのでどんどん調子よく下って行く.すると、左に壁が出てきた???


下に涸れ棚


又、涸れ棚



樹木が多くある斜面を下降、最後は懸垂

 GPSの受信状態はまだ悪い.何となく不安になり目的の尾根分岐を通り過ぎないようにゆっくり下降していったら、いきなり広い湿地帯に出た.此処まで下りてやっと大間違いに気が付くとは・・・.GPSが無くても此処はどこだか判る.上唐沢の右俣、まっただ中だ.歩き易い所を選んで下りてきた罰である.GPSは今度は受信できた.GPSは上唐沢右俣1700mの所(広い窪地)を指していた.
 
 時間は既に午後2時半.結構時間が掛かってしまった.今から尾根分岐まで登り返すのも辛い.尾根分岐から(三沢)二俣迄は未踏である.多分藪が濃いだろうから、時間の度合いが判らない.残念ではあるがいろいろ理由をくっつけて、三沢上流訪問は中止する事にした.
 
 そうとなったら、今度は少なくなってきた水が心配だ.上唐沢は読んで字の如し水がないカラサワなのだ.急ぎ下降して、牧場近く迄出なければならない.そこは、以前歩いているので水も僅かだが得られる筈だ.と、考え下降をやや急いだ.標高1500m付近まで下りた時、下流方向から水の音がする.ザーザーと音が一定だから梢を通る風の音ではない.少し元気が出て下降していくと、左岸数メートルの斜面から大量の湧き水が落ちていた.
 
 こんな所で水を得られるとは思いもしていなかった.季節だけの、或いはその年だけの湧き水なのだろうか?一応この場所をGPSにインプットしておこう.いつか、役に立つかも知れない.
その後、水をカップですくい、頭から被った.そして思いっきり飲んだ.冷たくて美味しい水だった.

 大笹牧場の柵に出て、回り込み下唐沢を横断して霧降道路に出た.霧降の駐車場まで、とぼとぼ歩く.この時期は日が長いので、ヘッデンの必要はなかった.


上唐沢左岸 1650m付近


上唐沢右岸台地 踏み跡があり左へ行くと大笹牧場の柵に出る



牧場の柵が見えた

Photo FinePix Z33WP 

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写真撮影だったり適当に歩いたりで、時間やルートは参考になりません.
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