◇滝見◇ 日光市(奥鬼怒野門) 初めての三沢大滝へ 三沢(1回目) 2004,11,3 訪問 爺 (時間は参考になりません) |
文化の日の今日、朝早く家を出て今市の辺りでは雨が降ってきた.夜中にずーっと降っていたんだろうか暗い道路は濡れている.鬼怒川温泉を過ぎた頃には時々強く車の窓を叩きつける.昨日の天気予報では確か晴れると言っていたが、空は明るいのか暗いのかまだ夜が明けず暗くて判らない(?) 開運橋を渡り暗闇の中に鬼怒川の音を聞きながら、取り敢えず腹ごしらえをする事にした.相変わらず雨は降り続いている. 雨の奥日光奥オフで、のじやんに情報が沢山詰まった“ブツ”をいただいた.その中にこれから行く「三沢」がある.初め、その名前を聞いた時は”足尾の三沢”と、思ってしまったが、それは奥鬼怒にあるのだという.地図を調べたら何と深沢の隣手前ではないか.ブツの中味で三沢の情報では、ずーーっと奥に “両側から一つの滝壺に落ちてる滝がある” というではないか.二つとも50m以上だという.想像しただけでも震えがきてしまう(酒のせいではない). 10月30日に決行計画をしたが、仕事のずれ込みと天候不順で、一時諦めた.だが、寝ても醒めても頭の中は殆どこれ一色.仕事を無理矢理終わらせて(ちょっと残ったけど・・(^_^; )11月3日に予定し決行する事にした. 降り続いていた雨は午前6:30には止んだ.薄暗かった空も明るくなり、取り敢えず入渓点を探さなければならない.全く情報がないので、これからは全て手探り.三沢に懸かる橋からも下りられるとは思うが、まず地図にある道を見つける事にした.舗装された林道が山の上へと続き短い距離で終わっていたが、林内に踏み後が確認出来た.上と下へ二方向.早速、身支度をし午前7:00丁度出発と相成った |
入渓は大堰堤のすぐ上 |
一番目の堰堤は大きな2段 |
二つ目の堰堤は左から |
滝○か爺にとっては、「こういうのがあるよ」と聞いただけで もう足がそっちに向いてしまう.ましてや、この沢の滝の様に凄い景色を想像してしまうといても立ってもいられない.崖を登ったり下りたり、川を泳いだりは流石に出来ないが幸いにして距離の長い事を除けば、険しさは(そこまでは)それ程でもないらしい. 沢に下りてすぐ出てきた堰堤の一つ目は、右を高巻く.二つ目と三つ目はそれ程大きくない.簡単に越えられる.川幅は広く、水も多い様だ.徒渉は大変かな・・・等と考えながら先へ進む.空は晴れてきて、青空も見えてきた.良かった、もう降らないだろう.両岸の紅葉を見る余裕も、少し出てきた. そうだ、熊鈴をつけなくては.普段は熊鈴をつけて歩かない私だが、この辺りは特に生息数が多いと聞く.適当な熊鈴を一昨日買ってきておいたものを、ザックの後ろにつけた.カランコロンという音色.こんなので熊が気付いてくれるのだろうか? |
3番目 |
4番目 |
次々と出て来る堰堤は楽に越えられる物ばかりであるが、これでは堰堤の写真のオンパレードで何しに行ったんだとヒンシュクものになってしまう.初めて出てきた滝は一枚岩を落ちる2m程.最後の堰堤は対岸が崖だし、水の多い本流を渡るのを嫌い左岸から巻く事にした. 手前50m程の所から登ったら、小ルンゼを横断出来ず30m位の高さまで追いやられやっと木が多くある所まで登りトラバース出来た.えらい時間がかかってしまった.※帰りは対岸の崖に見えた所を簡単に下りる事が出来た(^_^; 堰堤を越えたら左手(右岸)に滝が見えた.綺麗に水が落ちている.なかなか良い滝で写真を撮りたかったが、今日は時間的余裕が全くない.仮に、帰りに時間が余れば撮っていくことにした.遡行を続けると河原の岩は段々大きくなり歩きにくい. |
最後の堰堤 |
あきれてくるゴーロ沢 |
相変わらずゴロゴロした河原歩きが続く.時々滝らしきものはあるが本流の殆どはCSだ.天気はガスがかかったり晴れたりで忙しい.左岸に大きく崩壊している壁が見えた.見ると、ボロボロ落ちてきそうな石(小さな岩)が崖一面に積重なっている.次は、赤い崖だ.鉄分が多いせいなんだろうか.そう言えば沢の中にも赤い岩が多かった.
熊穴沢を右に通り過ごすと右岸崖の途中から大量の水が沸き出している滝があった.此処まで来るときも右岸、左岸に多く湧き水を見た.そのどれもが冷たく口を少しだけ濡らしてみると、まあそれなりに美味しい.延々と続くゴーロ歩きにうんざりし時々両岸の林内を歩く 残念な事は、この綺麗な山の中に捨てられた空き缶を多く見た.何に使ったのかビニールパイプの切った物、バケツの壊れた残骸、網の切れ端.どこか人間の情けない身勝手な行動を垣間見た気がして嫌な気分になった.そういうものを後にし、やがて分岐が左岸上から見下ろせる場所に来た |
崩壊地 |
大崩壊地 凄い迫力 |
赤い崖 |
大量の湧き水 |
真っ正面に見える沢には、階段状に滝が懸かっている.一方右手は、水が見えない.よく考えれば(見れば)判りそうなものだったが、まっすぐの方の沢を登ってしまった.10分か15分位登っただろうか、先ほどの本流に比べ水が極端に少ない事に気が付いた. 上を見た.が、判らない.しかし、これはきっと沢を取り違えたと判断.すぐ、下った.先ほどの分岐に戻ってみると何と別の沢に3:1位の比で水が流れているではないか.何という不覚. 右俣(本流と言える方)を遡って行ったが、目的の滝は見えてこない.予定していた時間も近づいてくる.疲れた身体と、這うように遅い爺の足どりに果たして行き着けるんだろうかという不安がよぎる.4m位の滝があった.本流ではここまでで一番の落差だ(^_^; この滝を越え、何かが予感して木の上の方を見た.かなりな高さに白い飛沫が見えた.高いッ 思わず声が出た. |
本流に懸かる小滝 |
枝越しに滝が見えた. 高いッ! |
高い場所から2条に落ちる滝があった.何という光景だろうか.左に約50m、右に約55m(資料から)の滝が、幅4−5mの一つの滝壺に落ちている.此処から上流は見えないが、沢が二つありこの滝壺で合流しているのだという.凄いとしか形容のしようがない. 圧倒される両崖の間に落ちる水は容赦なく飛沫を吹き付ける.思わず、後ろを振り向き手を滝の方にかざし、「おーい、これを見てくれ!」と誰もいない谷に叫んでみた.叫び声などかき消される程、滝音は凄いのに. 三脚を立て、飛沫を避ける様に(フイルムカメラで)写真を撮る.だが、あちこち移動したり、ゆっくり見ていたいし撮影もしたかったが、秋の暮れるのは早い.早々に切り上げカメラをしまい、帰路につく事にした. |
おお〜♪ |
滝を狙うとすぐに飛沫がかかって・・・ |
この行程の途中で、ワサビの大群落に出会った.この場所は一部で、別の所にも見た.初夏に花を咲かせる光景は素晴らしいかも知れない.2本だけいただいてた.栽培物より風味があるとか言ってるけど私にはよく判らない. 滝前で浮かれてしまったせいか、買ったばかりの熊よけ鈴を沢の深みに落としてしまった.少々残念だったが気にもならずやや足どりを速めて帰路についた.1,060m付近に左支沢があるがそこで熊と遭遇してしまった.本流を下りてきて出合付近は大きな岩に遮られて左支沢は見えない.本流の水際を下りてきて、何かの気配を感じそっちを向くと、支沢の対岸に熊がいた.距離僅か15−20m位.水でも飲みに来てたんだろうか. 一瞬、目が合った.私は両手にコブシを握り身構える(実は固まって動けない).熊は仁王立ちになる事もなくすぐに踵を返し林の中に駆け去った.我に返り、慌ててコンデジを取り望遠にして後ろ姿を追ったが、見事な手ブレになってしまった.こちらを向いている熊の顔はまん丸だった.大きいことは大きいが、まだ子供かも知れない.小さな目と黒い毛はつややかで、うなり声一つ発しなかった.爺も声一つ出さなかった(声が出なかった(^_^; ) 不思議とあまり恐怖感は湧いて来なかった.此処は深山で、彼等のテリトリーに踏みいっているのだから会っても当然、なのである.今まで随分出会ったらどうしようか、とか、いなければいいな、等と思っていたが・・・初めて会ってみて何故かホッとした気分にもなる.何故だろう.・・・が、それからの足取りは当たり前だが速くなる.熊よけの鈴がないから、救急笛をピーピー吹いたり、大声で調子外れな歌を歌ったり、口笛を吹い・・・あれ?・・・何故か口笛は吹けなかった(^_^;; |
ワサビの群生 |
Photo Panasonic DMC-1 |
当レポは
写真撮影だったり適当に歩いたりで、時間やルートは参考になりません.
仮に当レポを見て行かれる場合は予め情報を収集していただき、計画を
充分に立ててから実行して下さい.