◇滝見◇

那須塩原市

大蛇尾川東俣の支沢へ

(バッカラ沢の滝)

                  



2013年 8月 4日 訪問


(時間やルートは参考にしない事)
              
 「巨岩の上には七つの釜を持つ美しい滝が懸かっているが此処(出合い)からは見えない」という文章を見た.大蛇尾川東俣のバッカラ沢と言う所らしい.バッカラとは何とも面白いというか、珍しい名前ではあるがどういう意味か判らない.地域学者になれる程の頭脳と向上心は持ち合わせてないので、解釈などはその道の人にお任せしよう.久々に”七つの・・・”で気持ちが高揚し、ワクワク感が起き始め、行って来る事にした.

 前回、黒滝大日尊(の滝)巡りで御山沢(二俣少し下流)まで来ているから二俣迄の概ねの遡行時間は判る.そこからは未知だが、沢登り屋さん達のネット情報でそれ程困難でないらしいから、その時間も参考に出来る.では、夢をもうちょっと膨らましてバッカラ沢から1508P付近を越えて御山沢の左俣に下りて前回の続きをして来よう.無理と思ったら早い内に引き返せば良い.要は、取水堤に午後4時に帰ってくれば、明るい内にP地へ戻れる、という計算.まあ、計算通りいった事は殆どないがこんなもんだろう.

 車を鴫内山登山口の前に駐め、今日はいつもより早く出発.林道終点付近に2台の軽4輪を見て、巡視道を歩いていく.天候は良く、見える空に雲一つない.殆ど樹林内歩きなので陽は当たらずやや涼しいから、汗もかかない.不思議沢や夕小屋沢などを過ぎて取水堤に予定通りの時間に着く.

 吊り橋にはシマヘビさんが陣取っていて、おっかない.「しっ、しっ」と手を振ってみたが”此処はワシのシマじゃ”とばかり動かない.それどころかこちらに向かってカマ首をもたげてくる.家の近くのシマヘビさんはすぐ逃げるのに山のは気が強い.馬坂のサル沢でみたのもそうだった.おっかないのを我慢して、ステッキで何とか追い払ったが、更に涼しくなった感じだ. 駐車地6:15−−取水堤8:15


素晴らしいお天気(この時は・・・)


シマヘビさん、通して下さい!


左岸壁に”↑12番”のペンキ描き


本流は前回(カーソルで)より少し多かった


二俣手前の広河原
 吊り橋から見る大蛇尾川は水量が多い様だったが濁っているふうでもなく相変わらず澄み切って綺麗だ.少し休憩し遡行を開始する.強い日差しの中を歩くので暑いが、スパッツから浸みてくる水は気持ちが良い.ただ、水流が強く、横断する所は注意が必要だった.前回、見なかった黒滝大日尊巡り12番札所のペンキ描きも、なぜか今回は簡単にみつかった.この上に祠があるそうだが、足の遅い私にはそれを見てる余裕はない.取水堤からは近いので、次の機会にしよう.途中、一人の釣り屋さんが右岸で竿を出していた.私は左岸を歩いていたので邪魔にはならないだろう.そのまま歩いて上にいくが向こうは気が付かない様だった.
 出合い近くに滝を落としている御山沢を過ぎ、インゼルを通り広い河原を抜けると沢は右に曲がって二俣に着く.出合いの樹林内にはテント(の様なもの)が見え、一人.更に河原で何か調理しているのか、魚でもさばいているのか一所懸命な人が一人.少し離れているので、挨拶は遠慮して右俣に入って行く.さすがに同水量で分けると沢の水は目に見えてぐっと減る.深みへ走る魚影を見ながら遡って行くと幅の広い滑滝が出てきた.


二俣、正面樹林内がテン場 10:05


東俣沢の様子


間もなくF1 10:40


エメラルド色の水 F1


スダレ滝 F2 滝壺は結構深い
 深いエメラルドの淵を持ち、底の浅いお椀をひっくり返した様な綺麗な滑滝である.本流では(遡行時間がかかるので)三脚を出すまいと心に誓ってきたのだが、簡単に方針撤回.どっかの国の国会議員と同じか(爆) 左の乾いた岩を登って上に出る.綺麗な光景に後ろ髪を惹かれながら上に行くとこれも沢幅一杯の滑滝が現れる.これも滝壺が素晴らしいエメラルド.吸い込まれそうな透明感は、乏しい私の表現力でどう表そう.こちらは先程の滝よりやや高く台形.仕方がない、此処もフイルム撮影をしていくか・・・

 そろそろ、右から支沢(バッカラ沢)が合流しているはず.見逃さない様に注意深く遡行していく.間もなく樋状の滝が、流れを絞って勢いよく音を立て流れ落ちている.すぐ手前に大岩を押し出しているのが見えた.これがそうかと近づいてみると僅かだが岩の間から水が流れている.げげッ、全然水が無いじゃないか.年の為、GPSで確認すると正に此処が支沢だった.まあ、水が無く滝が壁になっていれば撮影は多分ない(又は少ない)ので遡行速度は捗るだろう.やや、気を持ち直して大岩の右や中央を伺うが、登れない.これは、巻くしかない.と、ばかりに樋状滝の上に出た.枝尾根を巻こうとコメツガ幼木藪に入りかけ、何となく上流を見たら.5−60m先に真っ白な流れか飛沫が見えた.


支沢出合い 11:05


支沢出合(右の大岩)、本流 F3


げっ、大きい滝だ! 11:10


大滝 2段30m 本流 F4
 お、大滝かよ.目的としていた支沢のこんな近くにあったのか.喜んでいいやら何やら嬉しい誤算.心でつぶやく「此処で多少時間を費やしても、支沢が涸れ沢なんだからそっちで時間を稼げばよい」など出来もしない言い訳を勝手につくったりする(笑) 滝前の小さな河原には、おりしの水量で飛沫が吹き付けてくる.少し離れた所にザックを置き、撮影開始.私にとって案外この手の滝撮影は難しい.水量が多いので曇り加減では白飛びして水流のアクションが再現されない(おおッ、えらそーに) まあ、陽の光が当たっていたらもっと悲惨になるけど(笑) と、まあ つべこべ言いながらあっちをうろうろ、こっちをざぶざぶ.お腹が空いたのでパンをかじりながらさらにウロウロザブザブ.い、いかん 支沢に行かなければ・・・

 枝尾根から出合いの大岩を巻いて上に降りると又でっかい岩があり、間に僅かの水が落ちていた.此処も中の岩に這い上がれず左斜面を巻く.再び沢に下りると傾斜はあるが岩が積み重なり間を僅かに水が流れているだけ.七つの釜は何処にも無かった.気が消沈しかけたが何とか取り戻し、沢の上流へと進んで行く.すると不思議な事に少しずつ水が増えてきた.しかし、小滝は出てきたが ”・・・美しい滝” は無かった.埋もれてしまったのだろうか.


支沢に下りたが又大岩


目的の滝はいずこ?


小滝


穏やかになってしまった・・・


突然滝が、、F1:連瀑帯最下段 12:05


F1:下から2段目の頭が僅かに見える
 沢はやや左に曲げ、水量を更に増して行く.どこかに伏流していたのか? 気を付けて見てくれば良かったと思いながら歩いていくと前方に滝らしいものが見えた.七ツ釜? いや、出合いからは離れているからこれは別の滝だろう.近寄って見ると、滝は上に続いていた.それ程高くなく(4−5m程)左から簡単に登れた.その上の滝(2段目)は2段10m位.滝壺で下の滝と繋がっているから(下の滝をF1として)同じ滝列になるのか? ま、どーでも良いけど、三脚とカメラを出したり仕舞ったり忙しい.この滝は右から登り、2段の間に降りる.上段に立つとその上にも滝がある.これも2段になっていて水の落ちる様が綺麗だが、下段の頭に下がる蔓がやや煩い.
 下段はかなり滑るが水の中を登って行く事が出来る.4−5m位登って、上の滝(4段目)の浅い滝壺を繋げ更に7−8m近い(もうちょっとあるかな) 5段目が・・・.


2段目、更にその上にも続く


3段目、その上に4段目・・・一体何段ある?


4段目、、ふぅ〜 5段目が上に  12:50


5段目 水流が何とも言えないので、横からカシャッ
 滝壺で区切って行くと計5段あったかな.直登も巻きも簡単なのでザックを下ろしたり担いだりが忙しい.その内何段目を撮影していたか判らなくなってしまった.ま、後からコンデジ画像で判断しよう.こういう時記者さん達が使っている声を録音する機械があれば便利だろう.確か、最近どっかから貰ったそう言う物が棚のどっかに仕舞ってあるから、今度使ってみよう.ただ、自分の声を聞く事って滅多にないから、気持ちこっぱずかすい(笑)
 5段目はこれまの(支沢)滝群の中では最も綺麗な流れをしていた.少し時間をかけて撮影をしていく.これまで結構遡行に時間がかかっている.こんなんでこの左岸尾根を乗っ越せるのか? と、ウスラボケ頭の中にちらほら.それでも、大分遡行しただろうとGPSでチェックすると、、、何と支沢が直角に曲がっている所から100m位しか来ていない.時間は既に13:00.がーーーん.この時間、予定では左岸尾根1508mPでおやつを食べてる頃.全然届かないではないか.こらあ駄目だなとあっさり撤退モードに切り換える.それならその前にもう少しこの上を偵察しておこう.5段目の上に登ると少し離れて(と言っても15−6m位) F2 10m・・・え!これF2だと、さっき登ってきた滝は一つの滝なのか? ・・・うん、まあそう言う事にしておこう.


5段目の落ち口付近から俯瞰


ちょっと離れて F2 10m・・・(あるかな?)


ややっ、又 13:35


F3 20m・・・と行きたいが、17−8m位だな


F3脇から薙を仰ぐ(地図にマーク有)


F3の上、滝は見えなかったので、Uターン
13:50


雨上がりの大蛇尾川
 さて、此処から引き返そうと思っていたが、F2の頭を見てみると両側から水を集めている様に見える.丁度地形図にある右岸ルンゼ(1100m付近)の辺りなので、そちらから滝でもかけているのかと少し右の斜面に登ってみたが良く見えない.空身のまま、上に引っ掛かっている枯れ大木が落ちてきそうな泥付き斜面をトラバース.スズタケを掴んで滝の頭に出、すぐ下を濡れながら横断.ルンゼはただの崖にしか見えない.沢は単純に上で分かれ滝で一つになっているだけだった.右が、下から見えない部分が3m程あり、その上は穏やかになっている.
 降りようかどうしようか散々迷ったが、100m程行って何も無かったら帰ると自分で自分に約束.それが、ちょっと遡り左に緩くカーブしたと思ったら、・・・前方に直瀑が見えるよ〜.フイルムカメラの入ったザックを取りに戻るのは(雲行きが怪しいので)面倒だし、取り敢えず全体をコンデジでパパッと撮って近づいてみる.右が崩れた斜面でその上(ずっと上)は崩壊壁の様だ.滝の右側枝尾根に向かって踏み後があり、スズタケ藪を登って回り込むと斜面を下りるのに木の根が利用された様な跡も.
 支沢出合いから此処まで、ゴミ(空き缶、ポリ袋、ブルーシートの切れ端、材木伐採に使ったもの等)は一切見なかった.貧相な出合いのガックリからは考えられない、途中から楽しい滝撮影渓に変わった.F3の上は見た限り滝は見えない.急いでカメラを取りに戻れば帰りの予定時間にちょっと遅れる程度で済むかも知れない.悪魔の囁きと戦う.取り敢えず急いで(と言っても下降だしザイルはないからスズタケ頼み) しかし、この滝を過ぎてF2を下降途中に雨が降って来た.結構強い雨だ.撮影などとても出来ないし、すぐ止むかどうかも判らない.本流が増水したら徒渉が大変だ.流されて爺の土左衛門が出来るかも知れない.
 F2滝下でザイルを出してザックを担ぎザイルを使ってどんどん下降する.さすがにこれは有効で結構早く出合いに着いた.この辺りから雨はさらに強くなり沢の流れに雨粒が落ちる跡が出来る程.雨の止むのを待とうかとも思ったが、どうせ全身濡れ爺だし今更カッパを着る気にもなれない.まあ、寒くなったら考えよう.心配した増水はさほどではないが、二俣から下流は西俣からの水量も合流するので油断出来ない.二俣から広河原に出たら突然止んだ.水にニゴリは無く極端な増水ではないと判断し、下降を続けた.それでも何度か横断するが水流が遡行時より強く緊張したが、何事もなく取水堤に着いた時は安堵した.暗くはなったが、ヘッデンは使わずにP地に着く事が出来たが、滝を沢山観られた良い旅だったと結んでおこう.

当レポは
写真撮影だったり適当に歩いたりで、時間やルートは参考になりません.
仮に当レポを見て行かれる場合は予め情報を収集していただき、計画を
充分に立ててから実行して下さい.