◇滝見◇
昔、金山があったという日光市の
西沢を少しだけ覗いてみた

西沢右俣本沢
                  



2007年9月1日 訪問

爺&yuki
                           
7月初めに足を痛めてからほぼ2ヶ月、ウズウズした気持ちを抑えきれず滝見を敢行した.しかし、どうせ行くなら途中まででも良いから未訪の沢にしたい.と言う事で、昔に金山があり一大集落が栄えたという西沢に決めた.


 朝起きてゆっくり朝飯を食べ、8時半過ぎに家を出た.車の運転も足の痛みで控えてきたが、往きは運転してみる事にした.足を横に捻る様にすると少し痛みがあるが、概ね問題はなかった.日光市内で霧雨になり、いろは坂ではガスがかかり視界10−20mといったところ.心配した車も少ない.又天気の方も中禅寺湖ではガスもなく青空さえ見えている.爺の普段の良い行いがここでもきっちりだ(笑)


 奥日光の高徳から山王林道を旧栗山方面に走り、西沢に架かる橋を渡って左の作業道ゲート前に車を駐めて橋の上から沢の上流や下流を眺めてみた. 上も下も堰堤しか見えない.山は全て緑一色.今では全く当時の繁栄の跡を見る事が出来ないが、この近辺に小学校や役所まであったというから、驚きである.
(西沢金山についてはインターネットで多く紹介されているので割愛)
 車を駐めた脇にはいくつかキツリフネソウが咲いていた.そう言えばこの2ヶ月というもの、足の痛みや、仕事に追われたりで、ゆっくり花もみていない事を思い出した. 
■写真左
滑滝


■写真右
堰堤の代わり?
 ゲートをくぐり作業道を少し登ると、5m程の滑滝が見えてくる.そこから又登って行くとすぐに作業道は終わりになり、沢の中に大きなパイプを組み合わせた構造物が出来ていた.法面や土留めが比較的新しいことから、最近出来たものらしい.堰堤の代わりの様なものなんだろうか?
 ゆっくりと沢に下り、徒渉して対岸へ渡り大きな2段の堰堤を越える.両岸の崖は、ザラザラと崩れやすい岩質の様で、堰堤や沢はこの砕かれた岩屑で埋まっていた.崖を見ると、いまにも崩れ落ちてきそうな所ばかりである.堰堤の上段下に来た時、コンクリートで平になっている所に動物の骨が散らばっていた.一瞥して脇を通り、この堰堤上段を越える時、右足が踏ん張れず力が入らない.仕方がないのでyukiに引っ張り上げてもらったが、単独だったらさぞや辛い堰堤越えになっていただろう.

■写真左
沢の上流を見る


■写真右
ゴルジュ入り口
 沢は傾斜を増して行く.水はそれ程多くなく思ったより冷たくない.(2段堰堤)左岸から別の沢が合流しているが、そっちからの水はやや濁っているようだった.その支沢も大量の岩屑と砂礫で埋まっていた.(帰りに覗いてみて)やはり堰堤も僅かな距離に多く造られているが、岩屑が堆く積もっていた.
 渓が徐々に狭くなり、ゴルジュ入り口に差し掛かると崩れそうな高い崖がやや恐怖感を煽る.こういう場所は素早く通過するに限るが、右足を庇いながらの遡行なので急げない.入り口少し奥にある4m小滝は水流左を快適に登る.

■写真左
小滝(4m)


■写真右
連続する小滝
 小滝登るとすぐに又滝が連続していた.ここからみて、最奥の滝の両崖が極端に狭くなっている様で、越えられるかどうか心配だったが取り敢えず遡行していった.下の滝(2m)は右階段状を登り、中の滝(3m)は左バンドを四つん這いで通過.上の滝は3m程しかない(たかが3m、されど3m・・・).左上部にCSを抱えており、右は垂直な崖.一旦、右岸泥付き急斜面を登るが手掛かりにしようとする岩はボロボロと崩れ易く、頼みのシャクナゲやツツジの小木も根っこから抜けてくる.
 だましだまし、登り、2−3mトラバースしたがそこから僅かのスタンスはあるものの、手掛かりが殆どない.4歩か5歩のトラバースに足を踏み出せないのだ.ここは巻きを諦め、滝を直登する事に決めた.こっちの方が遙かに安全で早いが、何しろ濡れる.

■写真左
濡れながら登った滝


■写真右
前衛滝と12m滝
 滝を全身ずぶ濡れになりながら登ると、2段の滑滝があったがこれは簡単に登る事が出来た.ゴルジュ帯を過ぎると、明るく広い沢になった.右岸にはかなり高い細い滝を落とし沢が合流していた.小休止を摂っていたら、yukiが何やら沢を覗き込んでいる.「何かいるのか?」と聞くと、「砂金でもないかな、、と思ってさ」と、笑っていたが、そうかこの山一帯は金山跡だったっけ.
 開けた場所からほんの一投足で三方全部崖という所出た.小滝の上に10mを越える滝が見えた.小滝を越え、滝の正面に立つ.昔滝壺はあったに違いないが、崩れ落ちる岩屑で埋まってしまったのだろう.水は少ないので迫力には欠けるが、周囲は明るく気持ちがよい.左岸には、3−40m程の涸滝が架かっていて僅かだが水が滴り落ちている.久々に写真を楽しんだ.


 今回初めてGPSを試す事にしていたが、この場所で測定を開始したら、今いる場所は紙地図で確認した場所と殆ど一致した.橋から直線で800m位、標高差250m位の1,650m付近であった.結構面白いものだ.


 この滝から上に行くには、滝の左岸、岩稜をよじ登り灌木帯に入れば後は楽そうである.しかし此処までくるのに右足を庇い歩いて来たので、やや身体が疲労感が強い.最も、2ヶ月間ロクに運動もしていないのだから無理もない.あっさりと、上にあるという大滝を目指すのはこの次にして引き返す事にした.


 例のシャワークライムした滝を今度は下りたのだが、足元が流れでよく見えないから時間が掛かってしまい、登るより下りる方が多く水を浴びるんだという事を覚えた.