◇山登り◇

日光市(足尾)
丸石沢からオロ山
おろさん:1821m

                  



2014年 5月17日 訪問


(時間やルートは参考にしない事)
              
  今回、松木川上流部の支流を遡行したのだが、その名称は2分しているらしい.(足尾山塊の沢=岡田敏夫氏著)では「丸石沢」、又、「皇海山と足尾山塊=増田 宏氏著」ではシナノキ沢」だ.岡田氏は「渡良瀬源流の山という資料」でシナノキ沢といい、日本登山体系では丸石沢になっていて、そこで岡田氏は後者をとっている.一方、増田氏の著書では特に説明付記はないがシナノキ沢で記録されている.

 別にどっちが本当だろうかと、言うつもりはない.一つの山を左右それぞれの地方で呼び方がいろいろあるのは至極当然で、沢名についても中央と地元で呼び方が違うのは多々ある.ただ、記録を書いている段階ではどちらかに統一した方が合理的だから、先に手に入れた資料を基にした.(足尾山塊の沢=2004年9月 皇海山と足尾山塊=2008年4月)私にとっては、どちらも大切なバイブルである.


 さて、その丸石沢までのアプローチは長い.松木沢を遡行しニゴリ沢出合からさらに上流にあるので、足が鈍(のろ)い爺では4時間〜5時間かかってやっと丸石沢に入渓出来る.急ぎ足で行くと沢出合い迄に疲れ果てて、遡行どころじゃない.一泊すれば楽なのだが、いろいろでザックが重くなり、これ又松木の沢歩きが辛くなる(←皇海山登山で経験済).そこで、ルートを検討.丸石沢を遡行しそのまま庚申山〜オロ山の稜線に登る.オロ山から沢入山〜中倉山〜仁田元沢林道とする.前半はほぼ沢歩きになるが、後半は稜線(多少藪)から登山道歩きになるから、幾分緊張感から解放されると思う.行程が長く、仮に中倉山辺りで暗くなっても一度歩いている”道”はハッキリしているからヘッデンでも大丈夫だろう (と、まあ、いい加減だが)
 
 それでも、暗くなる前に帰って来ようという訳で朝早く出発の事にする.


5:15 三川ダムP スタート


松木村跡


「みちくさ」 後姿を撮られた事がある
 で、家を3:30に出る.三川ダムに着いたのが5時少し前.朝飯を食べないと歩けない爺だから、いつものカップキツネ.ザック詰めは前日に終えているので簡単に支度をして歩き出す.ちょっと寒い.何度位だろうかとゲートの前の電光掲示板を見たが、消えていた.まあ、歩いている内に暖かくなるだろう.ただ、気になるのは松木上流の空がどんよりと曇っている事だ.オオナギ沢出合迄来ると、風も結構出て何だか小雨の様なものが顔に当たる・・・.昨夜の天気予報では今日は穏やかで暖かく行楽日和の良いお天気だそうだ.ま、山にそれが全て通用するとは思えないが、綺麗な天気予報おねいさんを信じましょう.と、カッパ(上)を着る(笑)

 普通はアクアステルスにネオプレンソックスだが6号堰堤(最終堰堤)近く迄は陸歩きなので、蒸れない様登山用靴下を履いて歩いたが結構快適.以前は、スニーカーできて此処へデポし帰りに回収していたが、今回の帰路は此処を通らないかも知れないし靴下ならザックの重量に影響はない.堰堤の手前で沢装備(っつーてもネオプレンソックスにネオプレンスパッツ)に替え3回徒渉し堰堤を越えてからはどれ位沢徒渉横断をしたか判らない.沢通しに風が吹いてきて何だか寒い.オオナラキ沢(左岸)の滝はやや水量が少なめだ.カマの沢出合滝(2段)は右にムラサキのツツジが咲いていて味を添えている.フイルムで撮影して行きたかったが、此処は先があるので我慢.この辺りまでゆっくり撮影行も楽しそうで良いと思うが・・・・


有名になってしまった”・・・のブナ”


小足沢出合滝 7:55


カマの沢 出合滝


本流 特徴のある釜 8:55


丸石沢(文献によってはシナノキ沢) 出合 9:35


イワカガミみたいだが・・・ 出合右の岩場で


人工的な素堀の岩穴
 ニゴリ沢出合いの台地に4人のパーティがテントを張っていた.二人の若者が近づいてきて昨日の天気予報はどうだったか? と、訪ねられた.聞けば、昨日から2泊の予定で皇海山に登る予定だったが、昨晩は雨で、今朝もご覧の通りの天気.これでは諦めて今日帰ろうかとも思っている、、、と、言う事だった.成る程、大きく濡れる程ではないが小雨がぱらついて厚い雲がある天気では、登るのにもテンションが下がるだろう.一応、昨晩の天気予報を伝え、もしかしたら日曜の方がもうちょっと良いかも知れないな〜、等と話した.2,3話して別れ爺は上流へ足を運ぶ.あのパーティはその後どうしたのだろうか? 宇都宮から来たと言っていた.三川ダム駐車場に駐まっていた車で宇都宮ナンバーは2台だけだった気がするが(帰りにもこの車はまだ駐まっていた)

 ニゴリ沢出合を過ぎて最初に左から現れる沢が丸石沢で、出合まではそれ程時間がかからず20分程で着いた.出合の右岸崖にシャクナゲが三輪咲いていた.出合はゴルジュ風になっているから険しそうだ.初めから右も左も登れず、右をへつる.その最中、手がかりの岩の隙間にイワカガミに似ている白い小さな花があった.岩を越えると右(左岸)に人間が這って入れる程の洞窟があった.人工的なものの様で何なのか中を覗いてみたかったがちょっと勇気がなくそっと通り過ぎた.上流は広い河原で明るくなった.右岸が崩壊がひどく、河原はそのガレなのか堆い.沢は平凡な感じだが高度を上げながら遡行していくと雪渓が現れる.やがて雪渓の上に10m(と資料にはあるが)の滝が出てきた.但し、手前には残雪があった.この滝は、「皇海山と足尾山塊」にも載っている.水がやや少ないのがちょっと残念.早速滝下をあっちへウロウロ、こっちをバシャバシャしながらダメフイルム量産(笑).撮影が目的だから早い遡行を心掛けたいけど時間が掛かるのはしょうがない.


シャクナゲ


滑滝


河原から振り返り 1828m峰は頭が雲の中


雪渓が出てきましたよ


一番目に撮影した滝 資料には10m位とある 10:40


水量が今一つだが、綺麗


階段状の滝は快適に登っていける


階段状滝のすぐ上の 階段状滝 此処から振り返ると


カマ5峰が、 滝頭は下の10mF



 この滝は、左を直登出来そうだが滑っているので右の安全斜面を小さく巻く.直登しても巻いても爺の場合、そんなに時間が変わらないのだから.滝上に登ると階段状の8m程の滝があった.中々楽しい.振り向くと、10m滝頭の向うに釜5峰が見えた.相変わらず曇り空だが、上流の空には所々青空が見えている.この滝を快適に登って行くとその上にも滑に続き4m程の同じ様な形をした滝があった.時間がかかるなぁ(笑) 更に遡行を続けると3m程の滝から上の渓は雪が覆い被さっている雪の渓になってしまっていた.両岸崖なので雪の無い所を歩けず、これは早々に撤退か?・・・と、涸れ頭に無念が浮かぶ.しかし雪渓は固く、ステップカットを刻みながら歩けば沢歩きよりも快適ではないか.

 雪渓が切れ6m程の滝が出てきた.分厚い雪の塊を肩に乗せた様で面白い.此処でも撮影などでやや時間が掛かってしまった.これまで登る(越える)のに難しい滝はなかったがこの滝も一見簡単に見えた.右のバンドから楽に滝頭に行けると思い、雪渓から階段状の岩に移り難なくバンドに.所が、滝頭に近づくとあの肩掛け雪渓が大きな邪魔.直登は全部の沢水を全身に被るシャワークライム.さすがにこの天気ではとてもそれは出来ず一旦滝下に後退.雪がなければ楽に登れたのに・・・と、恨めしい気持ちで右の急斜面に取り付く(左は崖でダメ)ツツジの根っこと細い灌木に掴まって階段状岩(これが、ガラガラ崩れやすい)をソロソロと登って枝尾根を回り込む.すぐには下りられず枝尾根を少し登って懸垂下降し上流の枝沢雪渓に着地.えらい、苦労する.


雪をかついだ滝 夏なら簡単だろうが、、、 11:15



探せばもう少し楽な所もあったろうに・・・ こんな所を懸垂下降
黒い土がクロうのあと(寒ッ)


ゆっくり、じっくり登る雪渓 この下に小滝があるかも知れない、、


雪渓登りで疲れ、振り向くと皇海山が でもガスが、、


二俣の左沢 右の枝尾根に取り付く 12:30


笹斜面だが抵抗なく登れ・・・


鞍部っぽい所だけどまだ枝尾根の途中
 そこからは雪渓だけで滝は現れない.この辺りやけに嫌な匂いがすると思ったら雄鹿が死んでいた.5m離れて又死んでいた.更に少し離れてもう一匹.鼻を抑えてその場を通り過ぎるが、来る時松木沢で2体の死骸を見た.雪が多く餌が確保出来なかったのか.これは自然の道理で仕方がない.左に(雪渓だらけの)沢を分け更に本流も雪渓(1540m付近).この辺が引け時だろうと倒木に腰掛け、12時を過ぎているのでお昼ご飯にしようと思ったけど何となく先程の匂いが鼻に纏わり付いている様だ.それを缶コーヒーで振り払い、ランチパック(今日はサンドイッチではない)を食べる.値段は余り変わらないが、量が少ない気がする.都会のサラリーマンはお昼にこれだけで晩ご飯まで持つんだろうか? と、思いながらどら焼きを、、美味いなあ.

 遡行を打ち切り、此処からは登山モード.空近くなったペットボトルに雪の下の沢水を満タンにして左支沢左岸尾根に取り付く.膝下の笹の中に鹿道がありちょっと急な事を除けば登るのに難儀ではない.1650P南鞍部手前でシャクナゲが出てくるが背丈が大きく通り抜けるのは楽だった.振り向くと皇海山が大きいが頭はガスに包まれたままだ.この頃、青空の面積は大きくなってきたが、日光の山方面はまだ雲に覆われている


中央に本流の涸滝らしきものが見える


稜線から派生する北尾根に到着 13:10


ブリキの標識板


標識板と踏跡(ちょっと見辛いが右端を上に延びている)
 稜線から派生する北尾根に乗り真南に進路を変え庚申山〜オロ山の稜線に向かうが適度な登りに加え、しっかりした踏み跡で登りやすい.針葉樹林に変わり木に何か赤い物が見えたので近づいてみると、何と標識板だった.黄色い下地に赤色の矢印が描かれており文字は無かった.すると足元の踏み跡は登山道なのか? そう言えばこの尾根はニゴリ沢出合近くに延びていて、そこには小屋がある.松木から小屋経由で庚申山に登る道なのか? それからも白くてボソボソの古いテープが幾つかと、もう一枚ブリキの標識板があった.およそ、1700mを越えた辺りでトラバース出来ないか東寄りを伺うが、ゴケナギ沢(*)源頭が急なルンゼ状になって横断が難しい.踏み跡を少し登ると今度はその踏み跡と別れてトラバースする様な踏み跡があった.

 苦もなく辿って行くと、北西方面の見晴らしが良いガレ場に出た(およそ1750m辺り).上空は青空になっているがやや左手に皇海山が見え相変わらず山頂は雲の中だ.下から吹き上げてくる風がかなり強いので、光景をゆっくり眺めながら休憩は出来ず、樹林内に逃げてエネルギーを補給する.ガレ場を注意深く横断し、樹林帯を抜けると今度は北から北東方向がよく見えるガレ場に出た.オロ山らしき山容が右手に見える.起伏が少ない様に見えて、疲れた身体には何だか優しそうで助かる.此処も風が強いから急ぎ足で前方の樹林帯に入った.そこから僅かに登って南西(庚申山方向)から延びてくる踏み跡をみつけ稜線に出た事を知る.”道”は稜線の北西側を通り概ね展望は良いが如何せん今日の風は強い.ただ、南東側に少し逃げると風の影響は全くないが、腰上の笹藪がありやや難儀する.やはり、風が強くても踏み跡を辿った方が楽だ.


一つ目のガレ場 13:30


皇海山 頭はガスの中


二つ目のガレ場


北東に延びる稜線に オロ山 お、何か近い


残雪遊び


斜めに踏跡、倒木の下を通る様に


特徴のある木


(しつこいけど・・笑)皇海山、まダ晴れない 鋸山はくっきり


良い眺めです(でも、実は強風でカメラもアオられがち)


平らな稜線では踏み跡を見失うが時々出てくる残雪は踏み抜きなど殆どなく、案外快適だった.オロ山直下でシャクナゲ藪を避け右に回り込み一登りでオロ山だった.時間も時間なのでゆっくりしていられないが、取り敢えず山頂やら、真北に延びる”台地”をコンデジに収めていたら、皇海山の山頂を隠していた雲が消えていく.中々素晴らしい眺めだ.

 さて、東に下りて沢入山に向かうが此処でいきなりのミス.下りはじめは東寄りだと思うが急斜面の中を下りやすい所を選んだ為右手(東南)に下り進んでしまったらしい.更に目の前に1738P(塔ノ峰)がやけに目立つ.思わず沢入山?と思ってしまい、笹藪もそれ程でないことも手伝ってぐんぐん快適に下降.まてよ? 踏み跡がないと言う事はおかしい.GPSで確認してみたら、げげっ 仁田元沢源頭にまっすぐ下りている尾根にいるではないか.山頂を下りる時もっと確認すれば良かったが後のカーニバル.だが、鹿道がまるで登山道の様な形で笹藪の中をトラバースしている.これを辿り無事に1750Pの西側鞍部に出る事が出来た.

 後はテープも出てきて踏み跡もハッキリしている.迷うことなく沢入山へ向かう事が出来る.ただ、松木側から吹き上げてくる風は強く、仁田元側に寄りながら歩いて行く.笹藪が切れ開放された稜線歩きになるが、風が止む様な気配はない.ウメコバ沢の上を通る時源頭の様子を覗き見たかったが、強風で写真を撮る事もままならない.丈の低いアカヤシオが沢山あるが、蕾なのか終わってしまっているのか松木側なのでじっくり見る事が出来ず良く判らない.その後稜線から仁田元側にもに同じ様なものが出てくる.よく見ると痛んでいる様な蕾もある.1682P手前の道沿いでは鹿の死骸が一体あった.今日は全部で6体見た事になる.1682P山頂にはアカヤシオが幾本かあった.痛んでる花やこれからの蕾など様々だがゆっくり見ている暇もない.時々風に立ち止まりながら沢入山までかなり遠く感じた.沢入山に着いた時は安堵したのか、疲れがかなり湧いて出た.木の陰で休み水を含んでゼリーを食べたら何と美味しい事か.(飴玉の一回り大きい物)5個しか持って来なかったが、もうちょっと食べたかった.


この藪は手強い! 恐れをなして右へ回り込み樹林の中へ


山頂到着〜 14:30


(しつこいけど・・爆) 今度は頂上が見えたよ〜 オロ山から


北に延びる水平尾根 船の舳先みたい オロ山から


早速間違え、トラバース中 でも、どうして?・・・


あの山が目に入ってしまったんです 塔ノ峰


樹木のない稜線 此処までくれば間違えません


1682Pのアカヤシオ


三角のオロ山 皇海山は又ガスの中


沢入り山 16:05

男体山

筑波山

 上空は青空東南から北西にかけて見事な眺望だ.男体山が雲一つない姿で存在感がある.遠く筑波山も見える.今立ったばかりのオロ山は結構遠くなってしまった.皇海山は又上が雲に隠れてしまっている.中倉山は通らず途中からトラバース道を選んだが、これは正解.中倉山から下りてくる登山道と展望岩場で合流.そこからの下りが何と辛かった事か.足が痛くなってしまい、何度転がりそうになった事か.いっそ、このまま転がったらあっという間に下に降りられるだろうと、何度思った事か.

ヘッデン覚悟だったが、まだ明るい内に駐車場へ戻る事が出来た. 駐車場着 18:50


・・のブナ


トラバース道に降ります


トラバース道はこの展望岩場で中倉登山道と合流 17:05


仁田元林道 到着 17:55

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当レポは
写真撮影だったり適当に歩いたりで、時間やルートは参考になりません.
仮に当レポを見て行かれる場合は予め情報を収集していただき、計画を
充分に立ててから実行して下さい.